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東芝、世界最小サイズ・最高画質で最長測定距離200mのソリッドステートLiDARを開発

  • 《図版提供 東芝》
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東芝は6月11日、世界最小サイズ・最高画質で最長測定距離200mのソリッドステートLiDARを開発したと発表した。

LiDARは、レーザ光を物体に反射させ、戻ってくるまでの時間を計測して距離を測る技術だ。周辺環境の立体構造を瞬時に高精度に観測でき、自動運転システムでの活用だけでなく、高精度なインフラ監視を実現する技術としても期待が寄せられており、2030年には車載用のみで4200万台/年の市場規模が予想されている。

東芝は2020年7月、従来の機械式LiDARと比べて小型化・低コスト化が期待できるソリッドステート式LiDARにて、課題とされていた長距離測定・高解像度の両立を可能にする2次元受光デバイスSiPM(高感度光検出デバイス)を開発した。しかし、高度な自動運転と高精度な社会インフラの監視を実現するには、画角・解像度・サイズにて、さらなる進化が必要。そこで同社は、ソリッドステート式LiDARの性能向上に向け、受光デバイスSiPMの感度向上と小型化の両立を実現する受光技術を開発した。

SiPMは、受光セルとその受光セルを制御する複数のトランジスタ回路から構成される。搭載するトランジスタ回路のうち、コア部分を微細化したトランジスタ回路に変更することで小型化。また、受光セルとコア回路の間に高耐圧トランジスタによる高耐圧部を設け、受光セルへ高電圧(VEX)を供給することで、感度向上にも成功した。さらに新開発の絶縁トレンチをトランジスタと受光セルの境界面に挟むことでトランジスタ保護用の幅広いバッファ層を不要とし、さらなる小型化を実現。新規開発したSiPMは、昨年開発時から、サイズを1/4に縮小しつつ、感度を1.5倍に高められる。

同社は、本SiPMを採用し、さらに、長年培った基板設計とモジュール実装の技術でLiDARモジュールの高密度実装を実現し、従来に比べ、LiDARの解像度を4倍に高めるとともに、LiDAR全体の容積を世界最小の350cc以下に抑えることに成功した。また、SiPMの温度にあわせて受光セルに供給する電圧を適切に調整する自動温度補正技術により、外部の温度変化よらず高い性能を維持することが可能。振動・風圧にさらされるLiDARを小型・軽量化することで、LiDARの設置条件を緩和し、アプリケーションの拡大に貢献する。