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GPGPU搭載のECUが市販されるという意味…アプトポッド「EDGEPLANT」発表

  • 《写真提供 アプトポッド》
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アプトポッドがnVIDIA Jetson TX2を搭載したECUユニット「EDGEPLANT」を4月から発売する。画像処理や機械学習をエッジ側(車両側)で処理できるECUとして、ロボット、i-Construction、AGV(無人搬送車)、自動運転車両への応用が可能だ。

Jetson TX2はGPUとして256個のCUDAコアを搭載し、画像処理や画像認識に力を発揮する。nVIDIA製品の中では消費電力が低く、車載用としても活用されるモジュールだ。このGPUを搭載するEDGEPLANTは、動作電圧が9V~36Vと広く、動作温度もー20°C~65°Cが確保される。EMC規格(Eマーク取得)、信頼性規格(JASO D014)に対応しているので、よほど特殊な環境下でなければ車載ユニットとして利用できるはずだ。

本体は、汎用的な入出力として4ポートのUSB端子(脱落防止にロック機構付き)を備えている。周辺装置としてCANバスのインターフェースボックスも用意される。標準的な実装としてはUSBポートにカメラを接続し、本体で画像処理や基本的な認知・判断処理などエッジコンピューティングを行う。CANバスI/Fを利用して車載コンポーネントの制御ECUと協調動作、統合制御も可能になる。GPSアンテナとSIMモジュールも搭載される。

汎用のアナログ・デジタル信号インターフェイスボックスなど、追加の周辺装置も順次ラインナップされる予定だ。

以上のようなスペックで考えられるアプリケーションは、産業ロボットや使役ロボットの制御。AGVやラストマイル輸送のロボットカー、構内無人カー、重機等の後付けのi-Construction化が考えられる。アプトポッドによれば「路線バスなどに搭載し、道路インフラや工事現場の監視・確認をする」といった応用もあるそうだ。走行中の録画を解析するのではなく、リアルタイムで走行画像を処理してインフラの状況を把握する。オープンデータ活用の事例のひとつだ。

SIMモジュールを搭載しているので、工場などでローカル5Gの利用を考えているところは、ラインや産業ロボット側のエッジコンピュータとしても利用できる。

重機については、現在各社が既存車両のi-Construction化が拡大している。AGVや構内無人カーは、エリア限定のレベル4自動運転車両といえる。これらのニーズも高まっているが、じつは、このような用途に利用できるECUユニットは存在していなかった。市販車両に後付けする自動運転用の制御システムキットを手掛けているメーカーはあるが、どちらかというとプロトタイプ開発用の評価キットという意味合いが強い。

無人カーや自動運転車両を開発する場合は、既存のECUを制御するカメラ・センサーシステムと頭脳にあたるプロセッサやAIユニットを独自で作ることになる。組み込み機器として統合ECUのように開発するには、自動車や家電のように数が見込めない製品でないと実装しにくい。AI処理などがエッジ側(デバイス・本体側)できないと、クラウドやサーバー上でAI処理を行うことになるが、遅延や通信環境に制限される。

「ロボットや無人カーのニーズが高まる中、メーカーやソリューションプロバイダーが汎用的に使えるエッジコンピューティングユニット製品はあまり存在していなかった。EDGEPLANTは、そのニーズに応えるために作られた」(アプトポッド代表取締役 坂元淳一氏)

現在、ロボットカーや自動運転車両は、新規製品として開発・販売されるものが前提となっているが、新しい技術の市場としてはそれは必然でもある。しかし、自動車でも後付けのADAS機能、後付けのi-Construction重機のニーズが高まっているように、EDGEPLANTのような事業者向けの汎用エッジコンピュータの用途は広がることが予想される。