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【トヨタ MIRAI 新型】水素社会の本格的な出発点に…FCシステムを幅広い分野に外販

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  • 《写真提供 トヨタ自動車》
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  • 《写真 オンライン中継画面から》
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トヨタ自動車は12月9日、新型の燃料電池車(FCV)『MIRAI』(ミライ)の発表会を開催した。その冒頭の挨拶で前田昌彦CTO(最高技術責任者)が強調したのが、「新型ミライが水素社会の本格的な出発点になるように尽力する」ということだった。

この言葉は初代ミライの反省から生まれたものと言っていいだろう。トヨタは2014年12月に世界発の量産FCVとして初代ミライを発売した。それに合わせて「15年は水素元年の年」と言われ、日本が世界に先駆けて水素社会へ進んでいくと期待された。

しかし、水素ステーションの不足やトヨタのFCシステムの供給力不足などによって、ミライの販売は低迷。事実、累計の世界販売台数は約1万1000台。話題づくりでは成功したものの、ビジネス、そして水素社会の実現という点では全くの失敗だった。

「さまざまな課題の発見と解決を重ねることで多くの学びがあった」と前田CTOは述べ、「当時からフォークリフトやバス、トラック、鉄道、船舶、産業用発電機などにFCシステムを転用していたが、初代のシステムは幅広い転用ができず、水素社会実現を加速させるほどの力がなかった」と続けた。 予想以上に乗用車以外への転用ニーズが多かったわけだ。

そこで、新型ミライでは水素関連技術の性能を向上させ、社会を支えるさまざまなモビリティへの転用を前提に開発を進めた。また、生産能力も約10倍の年3万台規模に増強する。「ユニットの生産を含めてお客さまのニーズに柔軟に応える体制を整えた」と開発責任者の田中義和チーフエンジニア。

田中チーフエンジニアは初代に続いて開発責任者を務めており、2代目ミライの開発については「お客さまが本当にほしいと思うクルマをつくろう」と考えたそうだ。FCVである以前に、クルマとしての感性に訴える走り、際だったスタイルなどを磨くことにした。「ユーザーがほしいと思って選んだクルマがたまたまFCVだったと言われるものを目指した」と田中チーフエンジニアは話す。

とは言うものの、一般のユーザーが新型ミライを待ってましたと買うことは少ないだろう。航続距離が850kmに拡大し、補助金を活用して570万円で買えるようになったが、まだ水素ステーションの整備が進んでいないからだ。まだ、全国に150カ所ほどで、都道府県によっては1カ所もないところもあるのだ。その裏には水素ステーションの設置にかかる建設費用が高く、なかなか採算が取れないといった事情がある。

新型ミライの販売目標にしても、「期待は高く持ちたいが、読み切れない」(前田CTO)ということで明らかにされなかった。2代目ミライでは、トヨタはクルマの販売に力を入れるよりもFCシステムの販売に力を入れていくことになりそうだ。