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ソフトバンクG 孫社長「モビリティの世界は根底から変わる」…数年先に自動運転車が大量生産
ソフトバンクグループが11月9日に発表した2020年4~9月期の連結決算は、当期純利益が前年同期比約4.5倍の1兆8832億円だった。しかし、孫正義会長兼社長が強調したのは、そんな数字よりも「AI革命への投資会社になる」ということだった。
「私は最近、ワクワクしている。それは時代の変化だ」と孫社長は決算会見の冒頭に話し始め、「自動車がこれから一気に変わっていく。AIを使って自動車が自ら自動運転する時代があと数年で始まる。われわれの投資先であるGMクルーズのトップと先週話したら、10年かかると私が考えていたことが、それよりも遙かに早い、数年先に自動運転のクルマが大量生産されて、世の中に出回り始めるということです」と続けた。
その根拠になっているのが、AIによってコンピュータが理解し、推論し、創造する時代に入っているからだ。 1チップに搭載されたトランジスタ数が、10年ほど前は7億3000万個だったものが今では90億個までに増え、CPUの演算処理能力が加速度的に進化しているという。
孫社長によれば、アルゴリズムの学習速度が最近の1年間で8倍になり、10億枚の画像分類にかかる費用も2017年に100万円だったものが2019年には3円になったそうだ。そして、その進化に大きく貢献している会社がエヌビディアというわけだ。ソフトバンクGは今年、アームの株式をエヌビディアにすべて売却する契約を結び、代わりにエヌビディアの大株主になる見通しだ。
さらに説明会の終盤には、ビジョン・ファンドの投資先の1つであるNuro(ニューロ)について触れ、そのビデオは流しながらこう説明した。
「配送はニューロに任そうとして実験している。世界的な配送の会社も続々と加わっている。クルマには運転手は乗っていなく、頭脳をつけてストップサインで止まり、交差点も渡っていく。トラックの物陰や人が渡る場所、工事現場に人が出てくる場所などにも対応して、霧のサンフランシスコも運転できる。運転席のない車もあと数年で量産される。すべての設計も終わって、今後大量生産される」
そして、「モビリティの世界は世界のGDPの11%ある。これが根底から変わる」と締めくくった。ただ、日本では規制が多くて、そういったクルマはまだ公道を走ることができない。孫社長は「日本の自動車産業は裾野が広いのに実験ができない。一日も早く運転できるようにしてほしい」と強調する。
ソフトバンクGは今後、さらにAIカンパニーへの投資を米国と中国を中心に、国にとらわれずに投資していく方針で、孫社長の一挙手一投足には目が離せなくなりそうだ。