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【ベントレー ベンテイガ 新型試乗】デザイン一新 さらに時速200キロオーバーで見えたものとは…九島辰也
ベンテイガがモデルチェンジした。プラットフォームとパワートレーンをキャリオーバーのまま、エクステリアとインテリアに手を入れ、印象を大きく変えた。
◆新型ベンテイガで全モデルの新世代フェイス化が完了
エクステリアでは3世代目となったコンチネンタルGTの匂いを強く受ける。ヘッドライトの楕円は横長になり、鋭い目つきとなった。昨年リリースされた4ドアのフライングスパーもそうだから、これですべてのモデルが新世代顔になったことになる。とはいえ、単純にグリルをスイッチしたわけではない。フロントフェンダー、ボンネット、バンパーをすべてつくり変えている。さらにいえば、ワイドトレッド化も行われた。リアも同様でテールランプまわりはすべてリデザイン。テールパイプまでカタチを変える。
乗り込むとまた進化の度合いがわかる。ダッシュボードは意匠変更、インターフェイスも進化した。メーターの位置にあるデジタルドライバーインフォメーションパネルと10.9インチのタッチスクリーン式インフォテイメントシステムはまったくの新設計だ。これまでライバルに対し若干遅れていた部分がこれで帳消しされ、アドバンテージとなった。
◆V8の次は、W12、そしてプラグインハイブリッドが控える
では、実際に走らせた印象はどうか。試乗車は登録前だったので、走行はクローズドのオーバルとなった。なので、高速巡航をメインにお届けする。エンジンは4リッターV8ツインターボで550ps、770Nmを発揮する。12気筒ではなくV8が先にリリースされたのはメインマーケットの北米ではレギュレーション上、12気筒は販売できないからだ。ただ、それ以外のエリアではほぼOKなので、V8の後、W12、プラグインハイブリッドがリリースされることが決まっている。ハイブリッドシステムは同じグループのカイエンに使われるものを採用する。
このV8はとにかくよく回る。アクセルを踏み込むとひとつひとつのギアをきっちり上まで使ってくれる。特にドライブモードを“スポーツ”にするとそれは如実にわかる。と同時に、その時のエキゾーストノートがたまらない。ベントレーらしいレーシーなサウンドを響かせてくれる。外から他の人が走らせている音を聞いても気持ち良さが伝わる音色だ。
◆22インチのロープロファイルタイヤでもしっかりとした操舵感
ハンドリングは高速域でのレーンチェンジで感じた範囲でいうと、かなり安定している。追従するボディは堅牢だし、22インチのロープロファイルタイヤが路面をガッツリ掴んでくれる。キャビンもフラットに保たれ、身体が大きく揺さぶられることはない。それでも操舵感がちゃんとあるのはさすが。ステアリングにフィーリングがあってクルマを操っている感覚を楽しめる。これまでも12気筒に対するV8のテイストがそうであったように、今回もそれが継承されている。
◆ベントレーが得意とするふたつの要素とは
この他ではふたつの要素が際立った。ひとつはブレーキ容量の大きさ、それとキャビンの静粛性の高さだ。この辺はベントレーが得意中の得意にしているところで、今回もそれは見事に実証されている。このサイズにしてこのストッピングパワーは驚くとともに、頼りがいがあることを実感する。というのが、今回のファーストインプレッション。登録前なのでいろいろ制限はあったが、逆に時速200キロオーバーでの安定性を検証することができた。とはいえ、味わいたいのはロングドライブ。“スポーツ”でのワインディング、“コンフォート”での高速走行を試してみたい。もちろん、ベントレーが推奨する“B”ポジションが最適と言う私の持論は揺るがないと思いますが……ね。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★
九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。『Car EX』(世界文化社 刊)副編集長、『アメリカンSUV』(エイ出版社 刊)編集長などを経験しフリーランスに。その後メンズ誌『LEON』(主婦と生活社 刊)副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの"サーフ&ターフ"。 東京・自由が丘出身。