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5G・レベル3自動運転に対応するテストベッドを知立市に設立した理由…テュフ ラインランド ジャパン
30日、テュフ ラインランド ジャパンは、愛知県知立市に電子部品のEMC試験に特化した「モビリティ技術センター(MTC)」を8月1日より稼働させると発表した。
テュフ ラインランドはドイツに本拠を置く、第三者認証機関の老舗だ。国内には横浜、大阪・福岡などにオフィスやラボ、検査施設を計6拠点ある。知立市に設立されるMTCが7拠点目となる。電子機器が出すノイズや輻射(エミッション)と電子機器の電磁耐性(ミュニティ)を測定・検査するEMC試験については、横浜と福岡のラボが対応していたが、5G、CASE車両といったテクノロジーニーズの高まりを受けて、車載電子機器のテストに対応できる施設を増設した(テュフ ラインランド ジャパン 代表取締役社長トビアス・シュヴァインフルター氏)。
MTCの建屋は、延べ床面積1,154.6平方メートルに、車載機器用電波暗室2基、車載機器・無線機器用電波暗室1基、シールドルーム1、テストルーム、会議室などを備える。設置される機器は、たとえばエミッション(EMI)試験でCISPR 25規格のほか、自動車メーカーのスペックにも対応する。イミュニティ(EMS)試験も200V/mの電波強度による試験、ISO 11452シリーズ規格とメーカースペックに対応する。
拠点の場所として知立を選んだのは、CASE車両の車載機器やECUに特化した試験を考えると、Tier1、2のサプライヤーが集中する中京地区である必要があった。MTCは知立駅から徒歩圏内とのことだが、路線図でみると名古屋、豊田、岡崎のハブ駅になっている。
自動車業界は、新型コロナウイルスの影響でこの半期の販売台数は軒並み前年同月比で下がっている。しかし、検査、認証ニーズは設計、開発段階に発生するもので、生産計画や工場出荷台数の直接の影響は少ないことと、厳しい中でもCASE車両への投資はどのメーカーも止めるわけにはいかない。ECUや電子機器の適用範囲が広がる自動車の型式認定において、5G、コネクテッド、電動化、自動運転技術により、EMC要件が適用されるコンポーネントは車両全域にわたる。車載電子機器の検査リソースを増やす必要があった(テュフ ラインランド ジャパン 運輸・交通部 部長 有馬一志氏)という。
6月には 国連の自動車基準調和世界フォーラム(WP29)によるレベル3自動運転の技術要件が発表された。この内容は、先の改正道路運送車両法 保安基準にも反映されており、セキュリティ基準やOTAの要件などが明文化されている。これに必要な検査は、大阪(KTAC)と新設のMTCが担当することになるという。