注目の自動車ニュース
ポルシェ 935/78 新型発表、70万ユーロ超で限定77台…1970年代の同名レーシングカーがモチーフ
◆1976年のポルシェ935モビー・ディックへのオマージュ
ポルシェは9月27日、米国ラグナセカサーキットで開催した「Rennsport Reunion」において、新型ポルシェ『935/78』(Porsche 935/78)を発表した。ポルシェの70周年を記念したクラブスポーツレーシングカーで、全世界に向けて77台を限定生産する。
新型ポルシェ935/78は、1970年代のモータースポーツで活躍を収めたポルシェ「935」へのオマージュとして企画。ポルシェは当時の『911』をベースに、最大出力600psを発揮するポルシェ935を開発。1976年の世界メーカー選手権(現在の世界耐久選手権に相当)で、ポルシェにタイトルをもたらした。ポルシェ935は、その後1981年まで、グループ5のレースにおいて、圧倒的な存在感を見せつけることになる。
ポルシェ935は1978年、935/78に進化。ロング&ワイドのテールが特徴の935/78は、延長されたボディから「モビー・ディック」とあだ名され、シャシー性能とエアロダイナミクス性能を全シーズンからさらに強化した。排気量3211ccの水平対向6気筒ガソリンツインターボエンジンは、最大出力845psを発生。1978年のルマン24時間耐久レースでは、366km/hの最高速を記録した。ポルシェ935/78は現在でも、最強の911として君臨している。
◆新型は特定カテゴリーに参戦予定なし
ポルシェの70周年を記念して77台を限定生産するのは、この1978年のポルシェ935/78がモチーフ。現行911シリーズの最強モデル、新型「911 GT2 RS」をベースに、当時のレーシングカーを連想させるボディを新たにデザインした。新型ポルシェ935/78は、特定のレースへの参戦を目的にしていない。そのため、1978年の935/78をモチーフにしながらも、当時のレーシングカーのようにレギュレーションに従う必要はなく、自由に開発は行われたという。
ボディの大部分は、軽量なCFRP(カーボンファイバー強化樹脂)製。幅1909mm、奥行き400mmの巨大なリアウイングをはじめ、エアロダイナミクス性能を追求する。フロントフェアリングのホイールアーチの通気孔は、レーシングカーの『911 GT3 R』の技術を導入したもの。フロントアクスルのダウンフォースを増加させる。ボディサイズは、全長4865mm、全幅2034mm(ドアミラー含む)、全高1359mm、ホイールベース2457mm。車両重量は1380kg。
シングルシーターのコックピットは、レーシングカーそのもの。カーボンファイバー製ステアリングホイールとカラーディスプレイは、2019年モデルの911 GT3 Rと同じ装備。レーシングバケットシートや6点式ハーネス、ロールケージが組み込まれる。オプションで、助手席が装備可能。
◆直噴3.8リットル水平対向6気筒ツインターボエンジン搭載
パワートレーンは、新型911 GT2 RSと基本的に共通。直噴3.8リットル水平対向6気筒ツインターボエンジンをベースに、可変タービンジオメトリー(VTG)を備えた大型ターボチャージャー、新設計の吸気システムなどを採用。この結果、ポルシェの市販車としては、史上最強の最大出力700ps/7000rpm、最大トルク76.5kgm/2500~4500rpmを獲得する。トランスミッションは、専用ギアレシオの7速PDK。駆動方式はRR(2WD)。0~100km/h加速2.8秒、最高速340km/hというポルシェ史上、最速のパフォーマンスを実現した。
ポルシェは、新型ポルシェ935/78のドイツ本国での価格を、70万1948ユーロ(約9255万円)と公表。納車は2019年6月から開始される予定、としている。