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東芝、LiDAR向け受光技術を開発 自動運転レベル4以上実現に貢献

  • 《写真提供 東芝》
  • 《図版提供 東芝》
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東芝は、レベル4以上の高度自動運転の実現に貢献するLiDAR向け受光技術を開発したと発表した。

LiDARは、レーザ光を物体に反射させ、戻ってくるまでの時間を計測して距離を測る技術。車の周辺環境を3D画像として把握でき、高度な自動運転システムの実現に不可欠だ。自動運転は5つのレベルに分類されており、レベル2まではドライバー主体、レベル3は条件つきシステム主体、レベル4以上は高度自動運転と呼ばれ完全にシステム主体となる。自動運転を実現するには、1台の車に、レベル3では4台程度、レベル4では6台程度と複数のLiDARを搭載することが想定されている。

一方で、従来のLiDARは、レーザと光の検出器を回転させて全方位を観測する機械式が主流。しかし、駆動部にモーターを使用した回転機構を持つため、小型化・軽量化・低コスト化が難しいという課題があり、モーター等の機械部品を使用しないソリッドステート式LiDARの開発が求められている。

ソリッドステート式は、回転機構を持たないため検知領域は小さくなるが、小型・軽量で壊れにくく、設置場所の自由度を広げられるといった利点がある。しかし、長距離性能と解像度がトレードオフの関係にあり、この両立が課題だった。

そこで東芝は、ソリッドステート式LiDAR向けに新たな受光技術を開発。従来困難だった超高感度受光デバイスSiPMの小型化を可能にし、高解像度と長距離測定性能の両立を実現した。SiPMは微かなレーザーの反射光を高感度に検出でき、LiDARの長距離測定に適した受光デバイス。一度光を検出した受光セルは一定時間応答ができなくなるといった物理上の特性があり、漏れなく光を検出するためには多数のセルを搭載することが必要だった。

今回、SiPM上に受光セルを再起動させるトランジスタを搭載することで、受光セルが応答できない時間を短縮することに成功。これにより、少ないセル数でも効率よく光を検出できるようになり、SiPMの大幅な小型化を実現。限られたパッケージ面積内に多数のSiPMを配列でき、高解像度化を図った。

この受光技術は市販レンズと組み合わせて使用でき、利用用途によって生じる複雑なカスタマイズが不要となる。乗用車、バス、作業車など、多様な車種への搭載が容易となり、今後、ドローンやロボットへの搭載も期待できる。東芝は、同技術を市販のレンズを用いたシステム構成にて実装し、高解像度を保ったまま、ソリッドステート式にて従来比4倍となる200メートルの長距離測定性能を達成した。今後はさらなる測定距離の延伸、高解像化および小型化についての研究開発を進め、2022年度までの実用化を目指す。