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【ダイハツ タフト 新型】バックパックを気軽に背負って
東京オートサロン2020に参考展示されたダイハツの軽クロスオーバー、『タフト』が発売された。タフさ・力強さを表現した“デザイン”などを備えた日常からレジャーまでアクティブに活躍できるクルマだという。
◆昔のタフトとは違う
ダイハツ製品企画部チーフエンジニア小村明紀氏はタフトについて、「『タント』に続くダイハツの主力軽ラインナップの柱として、今後の成長の拡大が見込まれる軽クロスオーバー市場に商品を投入する」とその目的を述べる。
今回のネーミング、タフトは、“Tough & Almighty Fun Tool”の頭文字から取られた。過去、ダイハツには同じタフトという本格4WD車があったが、小村氏は、「同じ名前ではあるが、今回は全くのニューモデルとして位置付けている。以前は“Tough & Almighty Four wheel Transporter“。コンセプトが違うので、その後継や2代目としてではなく、全く別のモデルとして開発している」と関係性を否定した。
この開発にあたって小村氏は、「実際にどのように使われているかなどを小型車のクロスオーバーも含めてユーザー調査した。ヘビーユーザーは実際のキャンプなどへ行くこともあるが、ほとんどの方がそういう気分や日常使いの中で気分を上げたいというところに、SUVのクロスオーバーに魅力を感じていた」という。そこで、「パッケージングは普段乗りの中で、新しい日常を感じてもらえるようなコンセプトを考えた。こういう使い方をしたらきっとレジャーに行っても楽しいだろうなという思いを抱いてもらい、レジャーに“も”使ってもらうなど、行動範囲を広げたいと思っているユーザーに響くようなクルマを考えようと商品企画を進めていった」。その結果、スカイフィールトップや、荷室のパッケージなどが生まれたのだ。
◆クルースペースとフレキシブルスペース
タフトはBピラーから前と後ろに分けて考えられた。バックパックスタイルと呼ばれるこの考えは、前席周りは運転を楽しむ“クルースペース”、後席から荷室周りは遊びを楽しむフレキシブルスペースと捉え、「前の乗員を人に見立てて、気軽にバックパックを背負うように、気軽に荷物を積んで出かけてもらうイメージ」と小村氏。
それを踏まえインテリア、特に後席は、「当然普通に4人乗車出来るのだが、バックパックの部分は後席のシートを畳んだ状態をイメージしているので、気軽に荷物などを積めるように、シートを倒す時に複雑なスライドなどをあえて採用せず、簡単に操作ができるシートを採用。そういったことも含めてアクティブに使えるレイアウトを考え、ラゲージ周りや運転席周りの組み立てを考えている」と話す。
デザインのポイントについて、ダイハツデザイン部担当デザイナー・主担当員の皆川悟氏は、「前席のクルースペースは、ドライバーを中心に機能部品を配置し、その部分にデザインのアクセント、オレンジの色を加えたようなところ」と特徴を説明。
今回のデザイン開発にあたり皆川氏は、「自分たちが乗りたいクルマは何だろうというところが発端にある」という。タフトのデザインメンバーは男性中心で構成。そこから生まれたのは、「ガレージライフ。自分のお気に入りのモノを集めて、そこでいじったりする空間だ。例えばそこの端っこにある机の周りは少しごちゃごちゃしているが、ワクワクするような気持ちもあるだろう。そういう考えをもとに運転席周りの機能部品の配置にこだわった」と語る。
一方荷室空間は、「リアシートを倒してガンガン自由に使える。ガレージライフの“ガレージ”の部分を意識しながらデザインした」述べた。そういったことからリアシートバッグには樹脂カバーを付け、さらにラゲージ周りでは樹脂製のデッキボードにして、水に対して多少強いという仕様にされたのだ。
さらにシートを倒せばドアパネルとの隙間も埋まる完全フラットスタイルになり、またラゲッジをアレンジすることで背の高い荷物や大きなモノも積載可能だ。
◆ネイキッドは意識しなかったけれど
このバックパックスタイルをエクステリアではどのように取り入れられたのか。皆川氏は、「レジャーに行くシーンなどで、荷物を詰め込んで出かけるというワクワク感が、人がバックパックを背負って出かけるシーンに少し近いものがある」とバックパックスタイルを説明したうえで、「リアドアの窓の形状を少し変わった意匠にした。フロントはスカイフィールトップを含めて開放感にこだわった」。これは、「Bピラーより後ろは荷物を詰め込める雰囲気を窓の大きさやピラーの太さ、シルエットで表現し、バックパックというコンセプトを実現したのがデザインの狙いだ」と話す。
因みにダイハツでは過去『ネイキッド』というクロスオーバーSUVが存在し、デザイン的には近いものを感じる。皆川氏は、「コンセプト段階においては特にネイキッドを意識したとことはあまりない」としながらも、「デザインを進めていく中で、バンパー形状やドアの力強くタフな雰囲気を表現していくにあたってはネイキッドを“勉強”しながら進めた」と明かす。ただし、「特にネイキッドを意識して、ネイキッドに近づけようという意識があったわけではない」と語る。