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マセラティ『MC20』、最新プロトタイプが「タルガ・フローリオ」で公道テスト…9月発表へ
マセラティは5月22日、現在開発を進めている新型スーパーカー、『MC20』(Maserati MC20)の最新プロトタイプの画像を公開した。
MC20の「MC」とは、マセラティ・コルセ=マセラティ・レーシングを意味する。「20」は2020年を指し、マセラティの歴史の新しい始まりを意味している。
またMC20は、2004年に発表された『MC12』に続くマセラティのスーパーカーとなる。マセラティはこのMC12で2004年、37年ぶりにレースに復帰した。MC12は2004年から2010年にかけて、FIA GT選手権で22勝し、コンストラクターズチャンピオン、ドライバーズチャンピオン、チームチャンピオンを合計で14回獲得している。
◆80年前の1940年のタルガ・フローリオでマセラティが4連勝
MC20の最新プロトタイプは、世界最古のレースにおいて、マセラティが4連勝という偉業を成し遂げてから、80周年を祝うタイミングで公開された。今から80年前の1940年5月23日、「タルガ・フローリオ」において、マセラティが4連勝を飾った。タルガ・フローリオは、1906~1977年にイタリア・シチリア島で開催された公道自動車レースで、国際的なスポーツカーレース大会としては、最も歴史が古いとされる。このレースにおいて、ゴールラインを先頭で通過したのは、マセラティ「Tipo 4CL」を駆るジジ・ヴィッロレージだった。
Topo 4CLは、マセラティ創業者兄弟の末っ子のエルネスト・マセラティが発案し、1939年に誕生したシングルシーターだ。当初 、「ヴォワチュレット」クラスのレースへの参戦を目指して設計が始まった。排気量1491ccの4CLは、「6CM」のシャシーをベースに、マセラティ史上初となる1気筒あたり4バルブを持つ4気筒エンジンを搭載していた。このエンジンは、当時としては先進的で、ボア×ストロークは78×78mmの正方形で、スーパーチャージャーにより、最大出力220ps/8000rpmを発生した。
1939年にトリポリで開催されたリビアGPでは、ジジ・ヴィッロレージが空力仕様の4CLでポールポジションを獲得。初優勝はその2年後のナポリGPで、英国人ドライバーのジョン・ピーター・ウェイクフィールドによってもたらされた。彼はその後、フランスのピカルディGPとアルビGPで2度の優勝を果たしている。
◆第二次世界大戦前の欧州最後のレースを制したマセラティ
1930年代後半には、シチリア島パレルモのレアーレ・パルコ・デッラ・ファヴォリータに設計されたサーキットで、タルガ・フローリオが40周にわたって開催された。ここで最初にゴールしたのは、ジジ・ヴィッロレージで、平均速度142.288km/h、ラップタイム147.201km/hの新記録を樹立した。
この年には、アルベルト・アスカリが、マセラティから初参戦した。アルベルト・アスカリは、イタリア・ミラノ出身のF1ドライバーで、1952年と1953年、ワールドチャンピオンを獲得している。
また、第二次世界大戦前のイタリアとヨーロッパで行われた最後のレースで、ジジ・ヴィッロレージが勝利を収め、マセラティの力強さを示した。第二次世界大戦後の1946年4月のニースGPでは、ヴィッロレージが4CLを駆ってレースを制し、フランスのレイモンド・ソマー、英国のレグ・パーネル、タッツィオ・ヌヴォラーリらが、その後も勝利を収めた。1947年には、さらなる勝利を記録した。1948年には4CLは「4CLT」にアップデートされ、新しいチューブラーシャシーと2段ターボチャージャー付きインテークシステムが採用されている。
◆MC20がタルガ・フローリオの歴史が刻まれた場所を走行
80年前の伝説のタルガ・フローリオで、マセラティが4連勝を飾った5月23日に合わせて、MC20の最新プロトタイプが発表された。この歴史的勝利から80年後、マセラティはスーパースポーツカー、MC20のプロトタイプを携えてイタリア・シチリアに戻り、有名なフロリオポリのスタンド前など、タルガ・フローリオの歴史が刻まれた場所を走行したという。
この新型スーパースポーツカーの開発は、さまざまな条件下でのテストを重ね、データ収集を行い、最終的な調整が進められている。イタリア・モデナにあるマセラティ・イノベーション・ラボでのダイナミック・シミュレーターを使ったテストを経て、公道やサーキットでのテスト走行段階へと進んでいる。
MC20は、スタイルとテクノロジーの両面において、マセラティの新時代の幕開けを告げる1台だ。同時に、100%マセラティによって開発・製造される革新的な新エンジンを初めて搭載するモデルでもある。
なお、マセラティは、MC20を9月に発表する予定だ。マセラティはMC20とともに、スポーツ性をさらに高め、2010年にMC12で世界選手権を制覇して以来、再びサーキットの主役へと復帰を果たす、としている。