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車載電装システム世界市場、2030年には倍増の48兆9120億円に 富士キメラ総研
富士キメラ総研は、電動車両化や自動運転/AI化などを支える車載電装システムやデバイスの市場を調査し、その結果を報告書「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2020(上巻)システム/デバイス編」にまとめた。
2019年の車載電装システム世界市場は中国の需要が低調だったため、前年比0.5%増の24兆8945億円と、低い伸びにとどまるとみられるが、中長期的には堅調に拡大し、2030年には2018年比97.4%増の48兆9120億円と予測する。
分野別ではパワートレイン系、HV/PHV/EV/FCV系、走行安全系の環境・安全に関わるシステムが全体の60%以上を占めるとみられ、特にHV/PHV/EV/FCV系の伸びが大きい。
エリア別では、自動車生産台数の多いEU、中国、北米が市場をけん引している。EUや北米は車載電装システムの搭載率が高く、2020年以降もHV/PHV/EV/FCV系が伸びると予測。中国は、2019年に自動車生産台数の減少によりマイナスが予想される。
しかし環境自動車の普及政策により、HV/PHV/EV/FCV系システムの比率が他エリアよりも大きく、中長期的には2020年以降は再び拡大に向かうとみられる。日本は現状、パワートレイン系と情報通信系の比率が大きいが、今後はHV/PHV/EV/FCV系が大きく伸び、2023年から当該システムの比率が最も高くなるとみられる。
車載電装システムの世界市場は、今後も各分野の伸びが予想され、特にHV/PHV/EV/FCV系の大幅な伸びが期待される。また、走行安全系の自動運転システム、ADAS、ドライバーモニタリングや、情報通信系の車外通信システム(TCU/DSRC)やHUD、ボディ系の電子ミラーなども大きく伸びるとみられる。
一般車両向け自動運転システムは、2020年にレベル3車が量産化、2025年頃にレベル4車が投入されることで、徐々に市場が本格化すると予想される。また、ロボットタクシー(レベル4車以上)などの商用車向けのシステムは2020年代前半に市場が立ち上がると予測。後付けのプラットフォーム販売であるため、一般向け自動運転システムと比べて高価格が想定される。
自動運転システムは、主要なセンシングデバイスであるLIDARが高価格であるため、搭載はハイエンド車両に限られているが、2021年頃にMEMS(微小電気機械システム)式などの安価なLIDARが採用され始めることからシステムの低価格化が進むと予測。2030年頃にはレベル3システムの価格は低下し、搭載車両の大幅な増加が予想される。
ADASシステムは、AEB(衝突被害軽減ブレーキ)などの衝突安全防止機能の搭載義務化により、世界的に搭載車の普及が進んでいる。現時点ではEUや北米が市場をけん引しているが、中長期的には日本や中国でも大幅な伸びが期待される。
システム普及の課題として、センシングデバイスの搭載コストがあげられるが、車載カメラやミリ波レーダーなどは搭載車の増加による量産効果で低価格化が予想され、普及を後押しするとみられる。2020年以降、各国が順次、衝突安全防止機能の搭載義務化を進めていることや、搭載車の増加によるシステムの低価格化が拡大を後押しし、2030年の市場は1兆3037億円と予測される。