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“ハンズオフ”で快適に帰る。日産の「プロパイロット2.0帰宅試乗」を体験
日産自動車は新型『スカイライン』を使い、自宅までハンズオフ(手放し)運転をしながら快適に帰宅できる試乗プログラム「プロパイロット 2.0 帰宅試乗」を11月19~28日の期間限定で実施中。メディア枠でさっそく体験試乗してきた。
◆走り慣れたルート上で「プロパイロット2.0」が試せる貴重な機会
この試乗プログラムのポイントは、何と言ってもハンズオフ(手放し)運転が可能な「プロパイロット2.0」を体験できることにある。「プロパイロット2.0」は高速道路など自動車専用道路でのみ動作するようになっているため、たとえばディーラーで試乗しようと思ってもなかなかチャンスには恵まれない。操作にしても、話を聞いただけで、すぐにわかるものでもない。それを高速道路上などでその魅力を体験できる。そこにこの試乗プログラムの魅力があるのだ。
この試乗プログラムでは、安全管理を兼ねたインストラクターが自宅まで同乗してくれるので、操作方法を乗車前と運転中も逐一教えてくれる。たとえ、プロパイロット未経験者でも、手放し運転と車線変更を提案する、この2つをセットにした世界初の安全運転支援機能が走り慣れたルート上で体験できるようになっているのだ。
試乗プログラム「プロパイロット 2.0 帰宅試乗」を実施しているのは、東京都心の「丸の内」「大手町」有楽町」の3エリアで、ここから通勤時間が30分以上かけて帰宅する人が対象となる。希望者はスカイラインのホームページにある専用の応募フォームから申し込む。当選者にはメールで連絡後、指定の場所まで新型スカイラインを配車する。当日の試乗応募も可能だという。
◆同乗するインストラクターが操作方法を逐一教えてくれる
体験試乗は東京・丸の内からスタートすることにした。ナビゲーションで目的地を設定すると、首都高速・中央環状線の呉服橋ランプから入り、江戸橋JCT~9号線~湾岸線~東関道を経由する、約50kmほどのルートが案内された。「プロパイロット2.0」は、カーブがキツイ道路が多い首都高では使えない場面が多そうだが、湾岸線に入ってからのルートではカーブが緩やかな道路が多くなり、この案内に従えば「プロパイロット2.0」が利用可能となる。
出発前には利用上の注意事項や誓約書にサインを求められ、システムについて一通りの説明を受ける。ただ、この説明はプロパイロット体験者なら理解しやすいと思うが、もしACC(ADAプティ・クルーズ・コントロール)すら未体験である場合は説明を聞いてもすぐに理解することは難しいかもしれない。そこでこのプログラムでは、概要説明をした後、とりあえずスタートし、その都度、インストラクターに説明してもらえる流れとなっている。説明を聞いてわからなくても心配はしなくても良さそうだ。
説明を聞いた後はいよいよハンドルを握ってスタートだ。丸の内から東京駅を右手に見ながら首都高・呉服橋ランプへと向かうが、この区間はナビゲーションの案内したがって運転するだけ。とくに今までのクルマと何ら変わったところはない。
呉服橋ランプから首都高に入ると中央環状線はやや渋滞気味。そこでプロパイロット2.0のメインスイッチをON。SETボタンを押して、「+」ボタンで速度を上げていく。カーブがキツイ首都高速では“2.0”としての動作はしないが、渋滞追従が行えるので少なくとも先行車に追従してアクセルやブレーキ操作からは解放される。
◆湾岸線に入るといよいよ「プロパイロット2.0」の本領発揮
江戸橋JCTを過ぎ、渋滞のない9号線に入ると速度を設定まで上げ、一時的にメーター内の表示がブルーとなってプロパイロット2.0でが動作していることを示した。しかし、カーブに差し掛かると通常のプロパイロットにメーター内はグリーンに切り替わる。プロパイロット2.0走行に必要な高精度マップは首都高速も対象ではあるが、カーブがきつ過ぎることを地図上で把握できているため、制御範囲外として解除してしまうのだ。
プロパイロット2.0の本領が発揮され始めたのが湾岸線に入ってからだ。ここでもう一度プロパイロット2.0のスイッチを押すとメーター内がブルーに切り替わり、80km/hの制限速度内での走行を始めた。ここで、恐るおそる手を離すと、システムがハンドルを細かく調整しながら同一車線内を自動走行する、プロパイロット2.0状態となった。メーターには周囲の車両の動きも表示され、システムの認識状況も伝えられてくる。
ACCとしての設定では制限速度よりも高くできるが、その場合は“2.0”ではなく通常のプロパイロットとしての走行となる。プロパイロット2.0はあくまで制限速度内で走行することが前提なのだ。また、視線の向きは赤外線カメラで昼夜を問わず監視されており、仮に自然が外れていることをシステムが検知するとプロパイロット2.0は動作しなくなる。
次に車線変更支援を体験してみる。先行車が制限速度よりも遅く走っていると、システムが追い越しをするかどうかを聞いてくる。ここで安全を確認してからハンドルに手を添えてプロパイロット2.0のスイッチ上にある車線変更支援スイッチを押すと、システムが周囲の状況を確認しながら自動的に車線変更の動作に入っていった。ウインカーの動作も自動的に行われていた。ただ、動作中に他車両が近づいてきた場合は動作がキャンセルされて、同一車線内でのプロパイロット2.0走行に戻る。
◆エラーを認知すると動作が解除されることをシステムが事前に通知
走行中に気付いたことは2点あった。一つは首都高速湾岸線と東関道の接続部分でアラートが鳴り、「高精度地図メンテナンス区間」として道路状況の確認を促されたことだ。おそらく、接続部分での地図データがつながっていないことが要因と思われる。もう一つが側道から高速道路への合流では任意に速度を上げる必要があるということだ。日本の高速道路では速度設定がかなり低く抑えられており、制限速度上で走行するプロパイロット2.0ではそのまま本線へ合流することになって危険でもあるからだ。
そして、いよいよ高速出口に近づくと最後のハイライトを迎えた。ハンドルに手を添えている必要はあるものの、車線変更と同様に出口方向へウインカーと共にハンドル操作が自動的に行われるのだ。プロパイロット2.0は高速道路からの退出までもサポートしているわけだ。ただ、この時点で動作状態はプロパイロット2.0ではなくなるので、側道の制限速度に対する自動追従はしないので注意したい。
約50kmの体験試乗を終えて感じたのは、プロパイロット2.0のメリットを改めて実感できたことだ。ACCを体験すると手放せなくなるのと同様、手をハンドルから離しての走行に慣れると、これもまたハンドルを握らずに走れることの快適さを認識させられたのだ。もちろん、あくまでプロパイロット2.0はドライバーが主体のアシストでの範囲内ではあるけれど、アシストによってドライバーの疲労低減につながることは確実。クルマの未来を感じ取れる貴重な体験試乗となった。