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【マツダ CX-30】柳澤チーフデザイナー「世界で最も美しいクロスオーバーを目指した」

  • 《撮影 小松哲也》
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マツダが9月20日から予約受注を開始した新型SUV『CX-30』は、既存の『CX-3』と『CX-5』の間を埋める位置づけとなるが、両モデルとは異なりルーフ形状が前席より後席の方が高くなっているのが特徴のひとつだ。

チーフデザイナーを務めるマツダデザイン本部の柳澤亮氏は「このクラスのクロスオーバーSUVは全長が短かめで背が高いので、室内空間と美しいプロポーションを両立させるのは非常に困難。これまではどちらかが犠牲になってしまうというジレンマがどうしてもあった」と話す。

というのも「ルーフを後ろ下がりにするやり方は実はスポーティに見せる定番の手法。最初はCX-30もこうした形からスタートしたが、これでは後席が狭くなってしまうという問題を抱る。一方、でルーフを後ろ上がりにすると後席は広くなるが実用車的であまり格好良いとはいえなくなる」からだ。

だが、「この両方ともが素晴らしい商品にしたい、なんとしてでも実現したいという強い意志を持って臨んできた」と柳澤氏は振り返る。

ではどのようにしてジレンマを克服したのか。「まず着目したのがDピラーの傾き。CX-30ではDピラーをできるだけ寝かせてワンモーションのルーフを造った。限られた全長の中でDピラーを寝かせるために、バックウィンドウの下あたりをできる限り後方に引っ張り出した。こうすると後席のルーフは高いままで、非常に流麗でスポーティなキャビンを造ることができる」。

「2つめのブレークスルーはクラッディングパネルと呼んでいる黒い樹脂部品。CX-30は全長が短くて背が高いプロポーションなので、そのままではずんぐりと太って見えてしまう。そこで通常より幅広のクラッディングを使うことによって、下半分をブラックアウトする。これによってボディをスリムに見せている」と柳澤氏は解説。

さらに「一般的にSUVの後ろ姿というのは、どうしても四角い箱になってしまいがち。しかしCX-30ではキャビンから一気に張り出すリアフェンダーを持たせることによって、それらとは一線を画したスポーティな後ろ姿を造ることができた。また後面にある特徴的なくびれ形状によって、軽快でワイルドな印象を与えて、非常に魅力的なリアエンドができた」とも。

その上で柳澤氏は「CX-30は世界で最も美しいクロスオーバーを目指して開発してきた。しかしただ美しいだけではなく、ちょうど良いボディサイズに広い後席と荷室を持たせたことが特徴」と強調した。

ちなみにCX-30の全高は一般的な立体駐車場に納まる1540mmで、実はCX-3よりも10mm低くなっている。その理由はアンテナをシャークフィンタイプではなく、『マツダ3 ファストバック』と同様にガラスプリントタイプを採用したことによるもの。「それにより後ろを下げずに済んだ」と柳澤氏は明かしていた。

CX-30の消費税10%込みの価格は239万2500-371万3600円で、販売開始は2リットルガソリンエンジンおよび1.8リットルディーゼル搭載車が10月24日から、SKYACTIV-Xエンジンモデルは2010年1月下旬を予定しているという。