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日産ADAS担当の飯島部長「最高レベルの技術をインテグレーション」…運転支援技術「プロパイロット2.0」を発表
日産自動車は技術開発担当である中畔邦雄副社長らが5月16日に本社で記者会見し、運転支援技術の最新版となる「プロパイロット2.0」を発表した。第1弾として、今秋に発売する『スカイライン』の改良モデルに搭載する。
同技術はカメラなどのセンサーと3D高精度地図データ(HDマップ)によるナビゲーションシステムを連動させたもので、車線変更など高速道路での複数車線走行を支援する。同一車線内ではハンドルが迅速・確実に操作できる状態にあればハンズオフ(手放し)ができる世界初のシステムとした。地図データは年に数回、カーテレマティクスを通じて更新する。また、価格は未定としているが、センサー類が多いことなどから自動車業界で普及している通常の安全運転支援システムより、相当割高にはなりそうだ。
センサーは7個のカメラ、5個のレーダー、12個のソナーで構成し、道路の白線や標識、周辺車両など周囲360度を認識する。カメラについては画角と焦点距離が異なる3つのカメラで構成する「トライカム」という横方向を広範囲に検知できる機器を米インテル傘下のモービルアイと新開発した。
このセンシングシステムとHDマップ、更にドライバーとシステムの適切な連携を図る「インテリジェントインターフェース」―の3つの機能で、プロパイロットの大幅な進化を実現した。高速道路での支援は、ナビでルートを設定したクルマが本線に合流した後にスイッチ操作で始まる。ドライバーが設定した速度を上限に先行車両との距離を保ちながら車線中央を走行できるようシステムが支援する。
さらに、ドライバーの設定速度より遅い車両が前を走行し、システムが追い越し可能と判断すると、その旨をディスプレイ表示等でドライバーに伝える。ドライバーがハンドルに手を添え、スイッチを押すと車線変更と追い抜きをシステムが自動で行う。追い抜き後の車線復帰も同様にスイッチ操作によって自動で行われる。また、ドライバーの意志で車線変更を行う場合は、ハンドルに手を添えて方向指示器を操作すれば、その後はシステムが判断しながら車線変更を行う。
会見やその後の取材で、AD/ADAS先行技術開発部の飯島徹也部長はこの2.0について「運転支援に現在導入できる技術をすべて投入した。最高レベルの技術をインテグレーションしたので、(他社が)簡単にこれらを超えて先を行くのは難しい」と、自信を示した。
また、飯島氏は同一車線走行時にハンズオフができる点と日本の道路交通法の関係について「前方や周囲の状況を確認しながら、直ちにブレーキなどを確実に操作できる状況にあれば、ハンズオフは道交法違反とはならない」と説明した。
今後の車種展開について中畔副社長は「具体的なことはまだ決まっていないが、当社は今後3年でほとんどのモデルをリニューアルするので、その際に新しい技術を入れていく。ご期待いただきたい」と述べ、展開を急ぐ考えを示した。日産は高速道路での同一車線における運転支援システム「プロパイロット」を2016年8月に、国内向け『セレナ』に初採用した。その後、『エクストレイル』、『リーフ』さらに軽自動車の『デイズ』などグローバルで7モデルに拡大、現在までに搭載モデルの累計販売は35万台になっている。