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ポルシェ、AIベースの走行快適性評価システム開発…量産車への搭載も視野に

  • 《photo by Porsche》
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ポルシェエンジニアリングは、人間の専門家による評価を補完するAIベースの走行快適性評価システムを開発したと発表した。

このシステムは客観的な結果を提供し、開発時間の短縮を可能にする。さらに、将来的には量産車への搭載も視野に入れており、車両使用中のシャシー性能に関する情報を提供することが可能になるという。

走行快適性は、車の購入決定や顧客満足度に大きな影響を与える重要な要素だ。そのため、新車発売前には多くの走行快適性テストが行われる。ポルシェエンジニアリングも自動車メーカーの依頼を受けてテストやチューニングを行っており、車両ダイナミクスの担当エンジニアがメーカーの仕様に基づいて車両を調整している。

しかし、評価はドライバーの技術的専門知識や個人的な好みによって異なる場合がある。そこでポルシェエンジニアリングは、AIベースの走行快適性評価システムを開発した。このシステムは、シャシーのセットアップの現状を評価し、顧客の指定する目標と比較することができる。

開発チームは、精密な加速度センサーを搭載した車両でテスト走行を行い、そのデータと人間の評価をもとにニューラルネットワークを訓練した。その結果、AIは実際に走行快適性を評価できるようになった。

現在、このシステムは通常のPCで動作し、振動センサーから12の入力値を受け取り、シャシーの挙動を記述する10のパラメータを出力する。評価結果は数分で得られるという。

将来的には、このAIベースの走行快適性評価システムを使用して車両が自己調整を行うことも目指している。テストベンチ上で同じ道路を繰り返し走行させ、シャシーのパラメータを最適化することが可能になる可能性もある。

さらに、量産車への搭載も検討されており、車両使用中のシャシーの快適性と性能を継続的にモニタリングすることができるようになる。これにより、開発ツールとしてだけでなく、エンドユーザーの車両でも一貫した高い快適性と安全性を確保できる可能性がある。