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自動追尾『eキャンター』は完全自動運転への布石…ジャパンモビリティショー2024
国内商用車メーカーで電動化や自動運転にもっとも積極的なのは三菱ふそうトラック・バスだろう。「ジャパンモビリティショー ビズウィーク2024(Japan Mobility Show Bizweek 2024)」では、直近に公開した自動追尾機能搭載のEV トラック『eキャンター』をアピールしていた。
三菱ふそうは、世界に先駆け小型商用EVトラックの量産を開始したメーカーだ。同社およびダイムラートラックなどグループ企業を通じ、すでに全世界38の国と地域で3000台以上を販売している。日本国内でもすでに1200台以上の販売実績がある(2024年7月現在 グローバルでの累計)。
eキャンターは、バッテリー容量別に3タイプ。積載量で2~3.5トン。3種類のホイールベース、ワイドキャブ、などの組み合わせで合計28のシャシラインナップがある。架装バリエーションも、平台トラック、保冷車、パッカー(ごみ収集車)、ダンプ、キャリアカーなど小型・中型トラックのほとんどのパターンに対応している。
ゴミ収集車は、厚木市や川崎市で実証実験などを行っている。eキャンターのごみ収集車が2021年に厚木市に導入されたあと、より小型の収集車も稼働している。川崎市では、2024年8月に自動追尾機能の公道での実証実験を行った。今回の展示は作業員を低速で自動追尾するレベル2相当の自動運転機能を搭載したもの。
ごみ収集車は、住宅地を巡回しながらごみを回収していく。ゴミ捨て場はアパートやマンションごと、あるいは番地ごとの角にあり、たいていの場合は、収集車が低速で移動しながらの作業となる。ドライバーとごみを回収する作業員が別々に必要になる。車両が作業員を追尾する形で自律走行してくれれば、効率が上がるだけでなくドライバー不足といった問題にも対応できる。
三菱ふそうでは、このコンセプトを2020年にeキャンターに実装している。「eCanter SensorCollect」という技術で、今回展示されていたのは、当時のプロトタイプを進化させたものだ。車両は自治体の要望を反映して標準ボディ、ショートホイールベースのeキャンターを利用している。住宅地の狭い路地では小型トラックのごみ収集車は必須だそうだ。EVなので早朝や深夜の収集も不可能ではない。
外観からはEVであることや自動追尾機能がついていることはわからないが、キャブのフロント部分に緊急停止ボタンがついているので、自動追尾機能が搭載されていることがわかる。ごみ収集で無人走行を可能にするには、法的な規定や行政や警察との調整、法整備が必要だが、バレーパーキングやパーキングアシストの延長ですぐにでも解禁してほしい技術だ。
プロトタイプでは、作業員の認識や自動追尾の制御にGNSSによる高精度測位とLiDARによる周辺センシングを行っていた。バンパーにいかにものLiDARユニットが取り付けられていた。今回の実証実験の車両は、センシング方式が変更されている。カメラによるビジョンシステムを制御のメインにしていた。LiDARもバックアップとして搭載しおり、制御方法については複数の方式を検証している。
最終的にビジョンシステムにするかLiDARにするか、あるいは併用なのかは決めておらず、用途によるとする。だが、これまでの実験で、マンションやビルが多い住宅地、収集エリアではGPSの精度が思うように出ないという。GNSSと高精度マップを用意しても、測位誤差やLiDARによる周辺情報と整合しないことがある。
GPSやマップに頼らないようにするには、カメラ画像による障害物検知、道路状況の検知でいけるのではないかと、複数の方式を試している。市販されているキャンターに搭載されているADAS機能はそのまま残している。自動追尾システムは別に稼働しており、これも事故回避のバックアップシステムとして機能している。
物流関係では、高速道路の隊列走行や自動運転の実験が始まっている。eキャンターの定速自動追尾機能も、ビジョンシステムを検証するなど今後の自動運転技術に貢献するものといえる。ラストマイルやルート配送の自動化・省力化に期待がかかる。