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【ホンダ N-BOX JOY】リラックス、気楽さがキーワードの新モデル!あえて「SUVテイストを抑えた」理由

  • 《写真撮影 内田俊一》
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  • 《写真提供 ホンダ》
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  • 《写真撮影 内田俊一》
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ホンダは9月19日、『N-BOX』の新たな派生車、『N-BOX JOY』の情報を解禁した。N-BOXが持つ質感の高いデザインや軽乗用車最大級の室内空間を活かし、クルマを「まるごとくつろぎの場所」とするモデルだという。

N-BOXが持つ質感の高いデザインや軽乗用車最大級の室内空間を活かし、クルマを「まるごとくつろぎの場所」とするモデルだという。インテリアは、汚れが目立ちにくいチェック柄のシートを採用し、後部座席を倒すことで現れるフロア後端までフラットな空間など、新たなサードスペースを提案する。

ポイントは、内外装のデザインだ。よりアクティブな使い方をイメージさせるスタイリングとなったエクステリアデザインのキーワードは、「ファンクショナルフェイス」だという。それが意味するものは何か。デザイナーへのインタビューから、N-BOX JOYの魅力を紐解いていく。

◆SUVテイストを抑えて強調した「気楽さ」
デザインを担当した小向貴大さん(本田技術研究所 デザインセンター デザインエクステリア担当)は、「Enjoy My Pace Boxというグランドコンセプトのもと、もっと気楽に使ってもらえるデザインを目指しました。そのためにエクステリアでは擦っても気にならないとか、汚れても全然へっちゃらみたいな安心感があると気楽に使ってもらえるだろうと考え、ファンクショナルフェイスをコンセプトにしたのです。もちろん顔だけではないんですけどね」と説明する。

一方で、三菱の『デリカミニ』やスズキ『スペーシアギア』のような競合他車と比較するとSUVテイストは薄い。企画段階からSUVライクなものがいいかどうかという議論はかなりあったというが、様々な調査結果から「そうではない方向を望む方も相当多い」ことがわかた。その中には“リラックス”や“気楽”というキーワードがあったため、「これらを具現化するアイテムを入れながらクルマを仕上げていった」(本田技研工業 四輪事業本部 四輪開発センターの諫山博之さん)。その結果としてSUVテイストはかなり抑えられたわけだ。

小向さんは、「N-BOXはあくまでもシンプルな毎日に馴染むクルマ。それをベースにしていますので、その良いところを生かしつつ、日常の延長でアウトドアを楽しむ、そういった緩い外遊びみたいなところを狙いたかったので、必然的に外装デザインもシンプルだけれど、機能的に安心・安全っていうところの落としどころを目指しました」と話す。

◆商用車っぽく見せない「黒」の使い方
通常のN-BOXとの大きな違いは、やはりフロント周りだ。安心・安全のファンクショナルフェイスを表現するために、「軽自動車は前後左右方向の寸法を使い切りますから“デザインしろ”は正直ないんです。ですが、強さ感、立体感を出したいので、あえてセンターのエリア(グリル下のボディ色部分)を凹ませることによって鉄板をプレスして成形した強さ感を表現しています」。

そうしながらもグリルを黒くした理由は、「ロアのグリルもそうなのですが、全部真っ黒にしたり、素材色の黒にすると、乗用車ではなく商用車ぽく見えてしまう。そこで下回りは傷がついても気にならない素材色にし、上はあえてフロントドアサッシュなどと合わせて黒艶にすることで乗用車に見せながら、機能感、キャラクターを表現するために(グリルは黒で)塗装しています」と解説する。

そして実はヘッドライトはかなり手の込んだ設えとなっている。デザインそのものはベースと全く一緒だが、蒸着することでカメラのような精緻な動感を出すために部品を分けて作り変えたというこだわりようだ。

サイドに目を向けるとサイドシル上のドアガーニッシュが目につく。この太さや位置も吟味された。

「ドアを開けた時にちょうどプロテクトしてくれますので、その機能は担保しながら、ミニマムのバランスでシンプルに扱えるところを非常に大事にしました。また、太くしてしまうとやぼったい、ゴリゴリのSUVという感じになってしまいますので、シンプルに最低限のデザインというのを大事にしています」と小向さんは話す。

◆ノスタルジーも感じさせる「ゆるさ感」
ホイールもあえてスチールホイールを専用とした。スポークのあるアルミホイールではない理由は「走っていると回転する方向が分かって、いかにも頑張っているような見え方になってしまう」から。あえて回転している方向が分からないようなデザインにすることで、ゆるさ感や、シンプルさを狙っている。

ターボ車にはホイールリングが付くので、ひと世代前にあったホワイトリボンタイヤのようにも見える。小向さんは、「そういうノスタルジーの新解釈みたいなのも実はあります。内装のチェック柄もそうですが、若い方からするとクルマにチェック柄を使うのは凄く新鮮。一方で、ちょっとご年配の方だとこういうのもあったよね、とちょっと懐かしいなと思うでしょう。それをエクステリアでも狙っています」。

フロントグリルにHONDAと書かれた用品も今回用意されているが、それも同じように往年の『ステップバン』をイメージして採用したものだという。また、JOYのエンブレムにもこだわりがあった。通常は既定のロゴを使うそうだが、楽しさや“強さ感”を表現するため吟味されたものだという。

◆競合車とは違うキャラクター
「N-BOXは日常で、気持ちよくリズミカルに生活を送ってもらうことを狙いましたので、JOYは、その日常から一歩出て日常生活の途中で、公園でランチしたり、コーヒーを飲んだりするような使い方も想定しています」と話すのは、商品企画を担当した廣瀬紀仁さん(本田技研工業 統合地域本部 日本統括部 商品ブランド部 商品企画課)だ。アウトドアやアクティビティに使い倒すイメージの競合とは、使い方の面でも異なる。

「キャラクターがそもそも違うということを訴求したいんです。おそらくN-BOXの新しい派生が出てきて、ちょっとアウトドアに寄せているけどどうなのかと、最初はなかなか伝わりづらい部分かなと思うんです。使い方を含めた内外の生活価値観みたいなところも含めて理解してもらいたい」として、外観だけでなく、内装に関してもこだわりを持って仕上げることで差別化したのがN-BOX JOYだとアピールする。

実際の想定ユーザー層は「地方在住の単身20代」だが、実購買層はもう少し上の世代になるだろうと見込む。「20代若者のマインド、大切な人たちともっと気軽に、自然体でありのままでいたい、自宅でも外でものんびりリラックスしたいという価値観に共感する40から50代の方たちも購入されるのではないかと考えています」という。

N-BOXの中での販売構成比率は人気の「N-BOXカスタム」が5割、標準のN-BOXが2.5割、そしてJOYが同じく2.5割と予想する。N-BOXからの乗り換えが3割強、そしてN-BOXの基本性能を武器に、競合モデルの個性派アウトドア車からの乗り換え需要も見込んでいる。