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信号情報を携帯電話網を使って自動運転車両に送信…DeNAが実証実験

ディー・エヌ・エーは、日本信号およびアイサンテクノロジーと共に、愛知県常滑市の中部国際空港島の公道において、複数台の遠隔型自動運転車両に携帯電話網を使って信号情報を送る実証実験を3月3日に行った。

今回の実証実験は、愛知県が主体となり県内3市において、複数台の遠隔型自動運転車両を同時に走行させる実証実験の一環として実施されたもの。車両内の運転席は無人で、遠隔にいる1名の運転手が2台の自動運転車両を同時に遠隔監視・操作した。2台の車両は時間差を置いて出発し、同時に走行した。

本実験は、警察庁が2018年3月から開始した、信号情報を車両に送る無線装置を信号制御機に接続する機会を民間事業者に提供するための申請要領に基づいて実施された。遠隔型自動運転車両への信号情報の送信は、日本初の試み。なお、有人での実証実験は2018年4月に藤沢市で実施している。

公道の交通ルールに従って走行する自動運転車両において、信号情報との連携は必要不可欠であり、これまで自動運転車両は、車載カメラを用いて信号情報の検知を行ってきたが、前方車両による遮蔽や逆光などの環境要因によって検知が困難になることが懸念されていた。

そこで信号情報を直接車両に送り、カメラによる信号検知システムと補完し合うことで、より確実な信号情報の検出が可能になることが期待されている。また、信号情報を自動運転車両が遠距離で得ることで、事前に車両の速度を制御し、交通渋滞の緩和や環境負荷の低減に繋がることも目指す。

今回の取り組みでは、実証ルート上で2方向から流入する交差点の信号制御機に、日本信号の専用無線装置を取り付け、リアルタイムに信号の灯色や残り時間などの信号サイクル情報を携帯電話網を介して自動運転車両へ送信。システムの開発においては、DeNAがこれまで培ってきたクラウドの技術やシステム作りの経験を活かし、低コストかつ汎用的な仕組みを実現した。信号情報を受けた車両は、自動運転システムによって「進む」か「停止」かの制御を行う。

交通分野のプラットフォーマーであるDeNAは、本実証実験を通して、道路側のインフラと車載システムが協調して事故を防止する「インフラ協調型システム」の導入を推進していく。携帯電話網を用いた信号情報の通信は、2020年以降の社会実装を目指す。