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日産はBEVファミリーで多様なニーズに応える…ジャパンモビリティショー2023出展予定
日産は間もなく始まるジャパンモビリティショー2023に4台のコンセプトモデルを展示することを発表し、説明会を実施した。
◆ジェネレーションYやZにアプローチ
日産はジャパンモビリティショー出展について、「日本の未来を体験する入り口となり、人々に大きな夢と未来への期待をもたらすという目標を、日産は共有していく」。そして、「そのショーの目的に沿って私たちのビジョンとアプローチが、ショーだけでなく未来に対していかに幅広く包括的であるかを示すことができるだろう」と日産常務執行役員のアリソン・ウィザースプーン氏はコメント。「ジェネレーションYとZにアプローチし、エキサイティングで力を与えてくれる未来へのビジョンを示す機会だ」とジャパンモビリティショーを捉えているとのことだった。
今回のコンセプトモデルたちは、「次世代EVコンセプトのファミリー。未来の消費者の様々なニーズに応え、なおかつドライブの楽しさを提供することを目指している」とし、「よく研究され計画されたパッケージング、デザイン、テクノロジーを通じてこのファミリーは、人々が時に競合するニーズに妥協することなくライフスタイルを探求するためのバランスを可能にすることを目指している」と説明した。なお、今回紹介されたコンセプトモデル以外にもう1台ショー当日にお披露目する予定だという。
◆『ハイパーアーバン』(デジタル展示)
日産グローバルデザイン本部シニアデザインダイレクターのジオバニ・アローバ氏は、ハイパーアーバンのターゲットを「都市郊外に住むプロフェッショナルで環境持続可能性を優先し、生き生きと洗練した方法で自己表現をしたい人たち」と定めた。
そのデザインは、「エモーションを感じさせ、かつカット面は情緒的でありながら、機械加工されたかのようながっしりとした印象も持っている。パワフルなホイール重視のスタンスは、アーバングリッドでのアジリティ、ケーパビリティとパフォーマンスを際立たせている」と説明。また、「はっきりした輪郭のフロントeモーショングリルを持ち、サイドのテックベルトには、指で触れるだけでドアを開けられる電動ドアセンサーが組み込まれている」。
インテリアは「活力を与えるようなクールなテックオアシスで都会の中の隠れ家のような印象だ。車載のV2Xシステムがエネルギーを共有。自宅でも勤務地でも活動が可能で、街中でも自宅でも、自らのリビングスペースを拡張した感じになるだろう」と語る。
ハイパーアーバンは、「定期的なソフト、ハードの更新によって、長年にわたって常に新しい経験を環境意識の高いオーナーに提供する」とコメントした。
◆『ハイパーアドベンチャー』(デジタル展示)
続いてハイパーアドベンチャーは、「クリエイティブな広々としたクルマを作りたい。そしてアドベンチャー溢れる生活にしたいとデザインした」と語り始めるのは、グローバルデザイン本部プログラム・デザイン・ダイレクターの清水暁生氏だ。
そのデザインは、「通常のSUVは四角っぽくて力強くラギットで大きいイメージだが、空力機能を重視してフレッシュでシャープな見栄えにしたい、そして効率性も高めたいということでデザインした」という。
そこで「四角っぽさを持たせながら空力を向上させることはできないかと検討した。フロントバンパーのインテークをウインドウシルに繋げることで、空気をルーフラインに向けて流している。また、リアゲートは広いままサイドウインドウとCピラーを繋げた。そうすることでシームレスな空気の流れを実現することができたのだ」と述べる。
ハイパーアドベンチャーの最大のポイントはインテリアだ。「SUVなので家族に楽しんでもらいたいと、5人乗りとした。そしてアドベンチャー、冒険心溢れる旅ができるように。後部座席は後ろ向きに回転することができ、そこに座ってスノーボードやスキー靴に履き替えたりすることができる」と話す。
最後に清水氏は、「このクルマによってお客様の感情を掻き立て、冒険心溢れるような生活を送ってほしい。同時に、このクルマに乗って楽しんでもらいたいという願い込めてデザインした。新しいEVの時代にこういった感情を掻き立てられるようにクルマにしたいという想いを込めた」と語った。
◆『ハイパーツアラー』(モデル展示)
ハイパーツアラーは、「日産が考える将来のラグジュアリーミニバンのショーケース」というのは、日産グローバルデザイン本部ログラム・デザイン・ダイレクターの佐藤大氏だ。
車両コンセプトは、「上質なドライビング体験を通じて乗員の“絆”を深め、リニアモーターカーのような安定して快適な乗り心地を実現すること。大切な人と対面で会うことを重要視し、それによってさらに良い関係を作り、絆が構築される。同時におもてなし体験も強調した」と話す。
また、「ASSB全固体電池技術を採用することで、広大な室内空間を達成するとともに、ウルトラロングホイールベースを実現。大開口と完全自動運転機能により、運転席にいる人も同乗者の方を向いて、車内で心置きなく楽しい時間を過ごすことができる」と述べる。また、「先進技術“e-4ORCE”と超低重心により、速く快適で、滑らかな走りを実現している」とのことだ。
デザインコンセプトは、「まるでプライベートジェットのような特別な移動空間。フリクションのないリニアモーターカーのように静かで安定した走りを表現したデザインを構想した」という。
エクステリアのイメージは、「非日常の特別な旅を予感させるもの」と佐藤氏。「建築的で堂々とした佇まいのエクステリアデザイン。スムーズな面質を持たせながら、シャープなキャラクターラインと良いバランスが取れている。表面はシンプルでスムーズだが、建築的で強いシルエットを実現している」と話す。
クォーターリアビューは、「フロントビューと同様、シルエットは力強いもの。リアゲートとリアガラスはシームレスな形でテールランプ、ボディ表面と繋がり、クリスプでシャープなキャラクターと上手く繋がっている」と説明。
インテリアは、「センターコンソールからハンギングしたシートが対面で育む“絆”を演出。一番の見せ場はフロア全面のスクリーンだ」と佐藤氏。例えば、「旅先に向かうときにそこに雲を映し出せばまるでラグジュアリスでゴージャスな雲の上、プライベートジェットのような特別な空間になる」とし、「フロアに水が映し出せれば、お土産に買った和菓子と備え付けの茶器でお茶や会話を楽しむことができ、まるで京都の川床にいるかのような体験をすることができるだろう」。
もうひとつのフィーチャーであるセンシングテクノロジーは、「ヘッドレストセンサーが乗員の脈拍や体温をセンシングしてクルマ側が室内の温度、例えば照明やフロアのアニメーションを調整しムードを変えることができる」と説明。
佐藤氏は、「ピュアでクリーン、知的でハイテクノロジー、そして頼りがいのある強い外観。ハイパーツアラーは多忙な日常を過ごすお客様を特別な時間へといざなってくれる」とまとめた。
◆『ハイパーパンク』(モデル展示)
最後はハイパーパンクだ。そのネーミングについてグローバルデザイン本部シニア・デザイン・ダイレクターのケン・リー氏は「反抗的で、人と違うことを恐れない」というコンセプトから来ていると説明。
そのターゲットは「かなりクリエイティブな人向け。コンテンツクリエイター、インフルエンサー、アーティストといったスタイルと革新性を重視する方々だ」と、日産グローバルデザイン本部プログラム・デザイン・ダイレクターの久世貴浩氏はいう。ケン氏も、「この特別なお客様のために、キーワードとして、“常識を打ち破り、ブレークスルーする。そして常識を再定義し、ノールール”とした」と述べる。
そのデザインは多角形を用いたもので、これは偶然思いついたものだという。久世氏によると、「最近のデジタル処理で、小さな三角形で構成されたポリゴンを作った。その後、ワンクリックでスムージングするのが通常のデザインプロセスだが、その前の状態がすごくカッコいいことに気づいた」ことからこのデザインが生まれたそうだ。「このプロセスは明らかに通常の手法の反対で、最初の形が8ビットのような魅力を持っていると感じた。彫刻の手法で “荒彫り”というものがあり、それも感じながら採用した」と述べた。
全体のデザインも、「駆け抜ける都市部を運転するエネルギッシュなお客様をイメージしてデザイン。筋肉質なフェンダー、多角形のホイール、すべてがユニークなデザインにまとまっている」とケン氏はコメント。久世氏はその中で特徴的なところとしてリアエンドのランプの下側にあるデジタルバックファイアを挙げる。「電気自動車にエキゾーストは必要ないが、でも、何か物足りない。そこでクルマに対する熱意を思い起こさせるために、パンクマインドのひとつとして採用した」。
インテリアも個性的だ。ケン氏は、「モバイルクリエイティブスタジオをイメージ。デバイスやクリエイティブ機器とのシームレスな接続を提供する」という。その結果として、「移動中でも情報にアクセスしたり、創作したりできる」とのこと。
センターコンソール周りは折り紙をイメージしたようにも見える。久世氏は、「厳密には違うが、折り鶴からインスパイアされたもの。小さな三角形は、メタバースにおけるデータの最小単位を表しており、このユニットが合体しながらコックピットに飛んできて鶴に変形する」と説明。
なおこのハイパーパンクにもV2X(Vehicle-to-Everything)システムが搭載されており、ユーザーはいつでもどこでもデバイスを走らせたり充電したりすることができる仕様となっている。