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その名は「要塞」、DS 7 に防弾装甲仕様—仏大統領専用車のノウハウ導入
DSオートモビル(DS Automobiles)は10月10日、ブランド最上位SUVの『DS 7』をベースにした防弾装甲仕様車「DS 7ヴォーバン」を欧州で発表した。2024年4月から、少量生産される予定だ。
◆衝撃や熱に強い軽量素材のアラミドと安全ガラスを使用
DS 7ヴォーバンの車名は、17世紀末にフランスで建設された要塞に由来する。フランス国王ルイ14世に仕えた建築家、セバスティアン・ル・プレストル・ド・ヴォーバンが手がけた“ヴォーバン要塞”は、フランスなど欧州全域に100か所以上。アジアやアフリカには、ヴォーバンが確立した技術を利用した城塞や要塞が複数ある。フランス国内の12か所がユネスコの世界遺産に登録されている。
DS 7ヴォーバンは、要人を乗せる特別保護車として設計されている。衝撃や熱に強い軽量素材のアラミドと安全ガラスが、国際的な防弾装甲規格「VPAM」のレベル4の保護性能を実現した。
オプションで、自動消火器、換気システム、サイレン、インターホン、USBソケット、読書灯などを装備できる。ボディカラーや内装トリム、ステッチ、フラッグホルダーなど、豊富なオプションも用意している。
◆フランス大統領向けの特別なDS 7を手がけた実績
DS 7ヴォーバンは、DSオートモビルとWELPグループが共同開発した。WELPグループは、フランス大統領のために特別なDS 7、「ELYSEE」を製作した実績がある。
『DS 7 ELYSEE』は、DS 7をベースに防弾装甲を施したモデルだ。ボディはセンターピラーから後ろが約200mm長くなっており、快適性を引き上げる特別な装備が採用されている。
WELPグループとDSオートモビルの新たなコラボレーションから生まれたDS 7ヴォーバンは、WELPグループが旧ステランティスのフランス・エリモンクールの敷地の一部を譲り受け、生産する。DS 7 ELYSEEから生まれた熱意が、DS 7ヴォーバンを少量生産する道を開いたという。
◆ベースはPHEVシステムパワー300hpの「E-TENSE 4×4 300」
DS 7ヴォーバンは、プラグインハイブリッド(PHEV)パワートレインを積む「E-TENSE 4×4 300」がベースだ。エンジンは、直噴1.6リットル直列4気筒ガソリンターボ「PureTech」で、最大出力200hp/5500rpmを発生する。モーターは、フロントが最大出力110hp、リアが最大出力112hpだ。エンジンとモーターを合わせたシステム全体で、300hpのパワーを引き出し、4輪を駆動する。
トランスミッションは8速ATの「EAT8」だ。バッテリーは、蓄電容量14.2kWhのリチウムイオン。EVモードの「ゼロエミッションモード」では、最大65kmをゼロエミッション走行できる。アーバンサイクルでは、81kmに拡大する。また、ゼロエミッションモードの最高速は、135km/hだ。
走行モードは、ゼロエミッションモード、スポーツモード、ハイブリッドモード、4WDモードの4種類から選択できる。バッテリーの充電は、出力7.4kWのチャージャーで、およそ2時間で完了する。
◆12インチの高解像度タッチスクリーン
12インチの高解像度タッチスクリーンは、ナビゲーション、空調、デジタルオーディオ、トリップインフォメーションをコントロールするために、1回の動きですべての機能にアクセスできるウィジェットをメニューに採用した。また、大画面化によって、高解像度デジタルカメラが撮影した車両フロントとリアの映像を表示したり、Wi-Fi経由でミラー画面機能にアクセスしたりすることも可能にした。
また、パーソナライズが可能なディスプレイを備えた新開発の大型12インチデジタルインストルメントパネルは、PHEVシステムのエネルギーフローなどの重要な情報を表示する新しいグラフィックを備えている。