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子どもに勇気を! ホンダのシングルシーター、オープンボディの小型EV『Shogo』
ホンダは1人乗りドアなしオープンボディの小型EV『Shogo』を開発、全米各地の病院に配備する。ホンダの北米におけるレーシング活動部門であるホンダ・パフォーマンス・デベロップメント (HPD) が60台を製造する予定だ。アメリカン・ホンダが2023年9月23日に公表した。
◆車いすではなく、小さな電気ホンダで
Shogoは、入院中の子どもが病院内で乗って移動するためのEVだ。ホンダのエンジニアによって設計・開発され、2021年12月からカリフォルニア州の「CHOC=オレンジ郡子ども健康」病院で使用されている。「Project Courage」(プロジェクト・カレッジ、勇気計画)と呼ばれるこの取り組みは、入院中の子どもたちとその家族に安らぎと喜びをもたらすことが期待されている。プロジェクトは「Project Courage 2.0」に移行、地域のディーラーと提携して、このほどShogoの“生産”を開始した。
アメリカホンダで「プロジェクト・カレッジ」のリーダーを務めるフンディ・リウ氏は「プログラムの拡大が楽しみだ。入院している子どもたちとその家族のストレスと不安を和らげるために、遊びや笑いの力を利用したい。病院内で治療や検査のために移動するとき、車いすではなく、小さな電気ホンダで走って欲しい」と述べる。
◆未来へ飛翔するという思いを込めた
Shogo(ショーゴ)という車名は、アメリカン・ホンダの資料によると「日本語の言葉を基にしており、『未来に向かって飛ぶ』という意味を持つことを意図している」という。もっとも、もともとアメリカでの活動なので具体的な漢字あるいは日本語の単語はないのだが、日系のホンダの取り組みであるため日本人のような名前にするとともに、未来へ飛翔するという思いを込めたそうだ。
Shogoは、4~9歳の子どもを対象に設計されている。子どもが簡単にアクセスできるようにドアのないボディが用意された。レースを走るフォーミュラカーのような、車体の左右中央に座席が位置するシングルシーターだ。
◆EVで、病院内を走行できるように
Shogoはステアリングホイール上の進行/停止スイッチで電源を簡単にコントロールでき、最高速度は5マイル/h(=8km/h)。車体内外の表面は、清潔に保ちやすい滑らかで柔らかな処理がなされている。フロントにはおもちゃを入れるためのバケツ、リアにはライダー(ドライバー)の名前を表示するためのナンバープレートスロット、運転席にはさまざまな音のバリエーションがあるホーン、カップホルダーが装備される。さらに車体後部には、看護師や介護者らが手動で車を押すプッシュバーと、IV(点滴)ポールホルダーがつく。
Shogoの開発にあたってホンダのエンジニアは、CHOCのスタッフと協力して実現可能性を確認した。ホンダの研究開発施設内に病院の廊下をコピーしたコースを設けてテストを行なったという。Shogoはレーシングカー直結の技術で開発されたとも言える。Shogoを電気自動車として開発することは、病院内で走行できるようにするために当然の要件だった。同時に、2030年にEVの売上を40%にし2040年までに100%にするという、ホンダのビジョンにも合致するものだ。