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無人運転バス群をAIの力で運行管理する遠隔監視システム
従来の鉄道・バスやタクシーでは補えない移動ニーズを満たすのが、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)と呼ばれる新しい体系の輸送サービスだ。
現在は有人運行が基本だが、将来は自動運転によるローコスト化やより柔軟な運用が期待されている。そのMaaS向け自動運転を支える遠隔監視システムがソフトバンク先端技術研究所による技術展示会「ギジュツノチカラ」で公開された。
◆2024年4月1日から自動運転レベル4が解禁
自動運転にはパーソナルな自家用車向けのものと、バスやタクシーを代替もしくは補完するMaaSと呼ばれる輸送サービスの大きくわけて2種類がある。
ソフトバンクはトヨタ自動車、日野自動車、本田技研工業など自動車各社と出資してMaaSサービスを運営するMONET Technologies株式会社(モネ・テクノロジー)を2018年に立ち上げた。
モネ・テクノロジーの現在の事業は、人間が運転するオンデマンドバスを中心としたものだが、今後は自動運転レベル4(限定された条件下の自動運転)の無人バスによるサービス導入を目指し、現在も竹芝周辺で無人運転の実証実験を行っている。無人の自動運転バスの場合、万が一のアクシデントや事故に備えて、人の目による遠隔監視が必要となる。
ソフトバンク先端技術研究所では、このための遠隔監視システムを開発している。せっかくの無人バスなのに、1人が1台を監視しては人件費的には節約にならない。そこで複数の無人バスの運行を1人で監視できるようになっている。展示では、2台1組のモニタで10台分を並行して監視できるようになっていた。監視者は10台分を同時に注視する必要は無い。各車両の運行監視はAIが自動で行い、問題が生じた場合だけ画面にアラートが表示して人間の監視者に対応を促すようになっている。
例えば、想定外の障害物が路上にあって無人バスが通常の運行ができず停止した場合、現場に人を派遣して、障害物を取り除くなどの対応を行う。AIが監視を行うおかげで少ない人数と少ない体力的な負担で自動運転MaaSの運用が可能になる。
展示では、自動運転MaaSサービスを運用するに当たって、無人運転バスが何台あれば無駄の無い運用が可能か検討するシミュレーションシステムもあった。対象地域内の広さと人口、人が昇降するスポットの数を元に、今までのモネ・テクノロジーの実績データも使用して、適切な台数を割り出す。
自動運転レベル4を解禁する改正道路交通法は2023年4月1日より施行される。それに合わせて車両の自動運転技術だけでなく、運用面での改善も進んでいる。