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【マツダ2 改良新型】目を引く“新しい顔”、思い切ったアプローチの理由は?
『マツダ2』の大幅商品改良で注目なのは、そのデザインだ。表情を変え、新たなカラーやコーディネートの選択肢を提案する。
◆“親しみのある顔”を表現
『デミオ』時代の2014年に生まれた造形は、いまなお新鮮さを失わないし、多くのライバルがある中でも完成度が高く、魅力的な形であり続けていると、個人的には感じる。しかしながら、これまでよりも幅広いユーザーにアピールするためには手を入れる必要が出てきたと、デザイン本部チーフデザイナーの木元英二氏は語った。
「マツダブランドのエントリー役として、門戸を広くするという方向性から、エクステリアではグリルの天地を詰めて、軽く見せるようにしました。そのうえで、グレードごとにわかりやすいキャラクターをプラスしました」
なんといっても目を引くのは、スポルト以外のグレードに導入された、新しい顔だ。ユーザーの裾野を広げ、若い人にアピールするために、フロントグリルの大部分をパネルで覆い、グリルを囲むシグネチャーウイングは黒としたのだから。
最近は電気自動車などで、グリルの形状は残しつつ、内側をパネルとした例があるが、新型マツダ2の顔はそれとも違う。マツダの魂動デザインと言えば、ブランドとしての統一感が印象的だっただけに、かなり思い切ったアプローチに感じた。
木元氏が例として挙げたのはフィアット『500』だった。親しみのある顔はグリルがなかったり小さかったりという造形が多く、逆にグリルが大きくなると威圧感が強まるというのが同氏のイメージ。そこでブランドデザインはキープしながら、親しみやすさを出すために、枠は残したまま中を埋めたとのことだった。
残るスポルトも、グロスブロック仕上げの専用メッシュグリルやブラックメタリックのアルミホイールを与えることで、キャラクターを明確にしている。
◆軽やかで気持ちを爽快にさせるような新色
ボディカラーは新色として、エアストリームブルーメタリックとエアログレーメタリックの2つを用意している。こちらについてはデザイン本部プロダクションデザインスタジオカラー&トリムデザイングループの寺岡俊丞氏が、次のように説明した。
「どちらも気体をイメージしたもので、軽やかで気持ちを爽快にさせるような色としました。マツダのボディカラーというとこれまでは、マシーングレープレミアムメタリックのような金属調が多かったですが、今回は若い人向けとして、選択の幅を持たせたいという気持ちから選びました」
インテリアはBD、スポルトともに黒基調だが、前者は前席背面をファブリック張りとするなど軽やかな仕立てとして、バイオエンプラとの一体感を重視。後者はスポーツモデルではお約束の赤黒としつつ、ストライプでファッション性を出したとのことだ。
◆マツダが提案する2つのスタイル
198通りのスタイルが作れるBDでは、用品開発もポイントになる。こちらを担当したのは、カスタマーサービス本部リージョン商品推進部用品企画開発グループの長谷川誠氏だ。
「若い人をターゲットとして、自由な自己表現ができるように、ボディカラーとルーフカラー、ホイールキャップ、インパネなどを自由に組み合わせできるようにしましたが、どれを選んで良いかわからないという声も出てきそうなので、サンプルとして2タイプを提案しました」
それが「ROOKIE DRIVE(ルーキードライブ)」と「CLAP POP(クラップポップ)」だ。なかでも目を引くのがルーキードライブで、新色のエアストリームブルーメタリックにレーシングオレンジのサイドストライプ、ホイールキャップ、リアルーフスポイラーを組み合わせている。
昔を知る筆者は1960~70年代のレーシングカーがまとっていた「ガルフカラー」を思い出したが、もちろんそれをイメージしたわけではなく、20歳代のデザイナーの提案で、スニーカーをイメージしたとのこと。
自動車本来の美しさをストイックに探求し続けてきたこれまでのマツダとは、あきらかに異なる路線ではあるものの、派手にならずセンスよくまとめている点は共通しており、魂動デザインに新たな引き出しが加わったという印象を抱いた。