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メルセデスAMG「S63」新型、史上最強の『Sクラス』に…PHEVで802馬力
メルセデスベンツは12月6日、最上位4ドアサルーン『Sクラス』新型の高性能電動モデル、メルセデスAMG『S63 Eパフォーマンス』(Mercedes-AMG S 63 E PERFORMANCE)を欧州で発表した。
◆0~100km/h加速3.3秒で最高速290km/h
高性能プラグインハイブリッド(PHEV)システムは、直噴4.0リットルV型8気筒ガソリンツインターボエンジン(最大出力612hp/5500~6500rpm、最大トルク91.8kgm/2500~4500rpm)に、電気モーター、蓄電容量13.1kWhのリチウムイオンバッテリー、可変トルク配分式4WD「AMG パフォーマンス4MATIC +」を組み合わせたものだ。
電気モーターは、最大出力190hp、最大トルク32.6kgmを引き出す。PHEVシステム全体では、802hpのパワーと、145.8kgmのトルクを獲得した。歴代Sクラスで最強のパワーになるという。
これにより、0~100km/h加速3.3秒、最高速250km/h(リミッター作動)の性能を可能にする。オプションの「AMGドライバーズパッケージ」では、リミッターが290km/hに引き上げられる。
◆モーターは電気式の2速トランスミッションと一体設計
モーターはリアアクスルに配置され、電気式の2速トランスミッションと電子制御のリアLSDと一体設計された。軽量で高性能なバッテリーは、リアアクスルの上にレイアウトしている。
メルセデスAMGが開発した電気モーターは、9速の「AMG SPEED SHIFT MCT 9G」トランスミッションを介さず、リアアクスルに直接パワーを送る。これにより、追い越しなどの際に追加のブーストとして、モーターのパワーを、よりダイレクトに駆動力にすることが可能になるという。
さらに、一体設計された電子制御のリアLSDは、走行状況に応じて、左右の後輪に最適なトルクを配分することができる。その結果、コーナーの立ち上がりなどで、さらに力強い加速を可能にしているという。後輪のスリップを検知すると、電気モーターの駆動力が前輪に伝達され、トラクション性能を向上させる。
◆エレクトリックモードの航続は33km
メルセデスAMGが開発したパフォーマンスハイブリッドモデル用の高性能バッテリー、「HPB」が採用される。メルセデスAMGペトロナスF1チームのノウハウを導入して、開発されたリチウムイオンバッテリーとなる。この高性能バッテリーは、連続して高いパワーを引き出すことができるのが特長だ。これに軽量構造を組み合わせて、車両の性能を向上させる。高いエネルギー密度を備えており、たとえば高低差の大きい山道を走行する場合、上り坂でも素早くフルパワーを引き出すことができるという。
メルセデスAMGの高性能バッテリーは、S63 Eパフォーマンスの場合、13.1kWhの蓄電容量、70kWの連続電力、10秒間に限られる140kWのピーク電力性能を備える。
バッテリーの充電は、充電ステーション、ウォールボックス、家庭用コンセントに、出力3.7kWの車載AC充電器を接続して行う。「エレクトリック」モードの航続は最大33km。最高速140km/hでのゼロエミッション走行を可能にしている。
◆「AMGダイナミックセレクト」は7種類の走行モード
「AMGダイナミックセレクト」は、「エレクトリック」、「コンフォート」、「スポーツ」、「スポーツ+」、「バッテリーホールド」、「スリッパリー」、「インディビジュアル」の7種類の走行モードが切り替えられる。各走行モードでは、ドライブシステムとトランスミッションのレスポンス、ステアリング特性、サスペンションダンピング、サウンドなどが変化する。モードの切り替えは、センターコンソールのディスプレイ、またはAMGステアリングホイールのボタンで行う。
システムは、コンフォートモードで静かに起動する。インストルメントクラスターには、「準備完了」のアイコンが表示される。さらに、メルセデスAMGらしいパワフルで響き渡る始動音が、車内のスピーカーから音響フィードバックとして発せられる。アクセルペダルを少し踏めば、AMGパフォーマンスハイブリッドをモーターのみで動かすことができる、としている。