注目の自動車ニュース
中部国際空港エリアで自動運転バス、注目すべき進化ポイントはここ
「NTTドコモの5G技術などを使い、3台の自動運転バスを同時に遠隔操作するところが新しい。きょう、自動運転バスで専用道を60km/hで安定して走る姿を体感して、さらなる進化を感じている」
そう語るのは、愛知県の大村秀章知事。10月28日から、10月31日~11月6日の計8日間、愛知県常滑市の中部国際空港・常滑市りんくう町・名鉄常滑駅周辺で、自動運転バスの実証実験が始まった。
愛知県 大村知事が初日に自動運転バスに乗車してこうコメントするように、今回、最も新しいトピックスは、東海理化(愛知県丹羽郡大口町)の遠隔監視 映像統合システムなどで、3台の自動運転バスを同時に遠隔監視・制御する点。愛知県や幹事会社のエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズは、その遠隔監視管制室などを、初日の10月28日に公開した。
愛知県常滑市で走り出した実証実験用 自動運転バスは、先進モビリティ(茨城県つくば市)の日野ポンチョ(ディーゼル)ベース、同 BYD J6(EV)ベース、そして埼玉工業大学の日野レインボーIIベースの3台。
先進モビリティの2台は、GNSS高精度位置情報、磁気マーカシステム GMPS、3D地図と車両センサ情報などを組み合わせての検証、埼玉工業大学の自動運転システム後付けバスは、自動運転OS Autoware と事前取得した高精度3Dマップを使用して走るさいの精度を検証していく。
◆遠隔操作・制御とドライバーの意思のバランスも検証
実際に乗ってみて、進化を感じるうえに遠隔監視・遠隔制御の“途中段階”にあるところがおもしろい。幹事会社のエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズは、「たとえば自動運転バスがオートでとまって、その先で安全確認をしてリスタートするさいは、ドライバー判断か、管制者判断かなどは、まだはっきりしない。そうしたいろいろわからないところを、この常滑で検証していきたい」という。
また、埼玉工業大学 自動運転技術開発センター 渡部大志センター長は「遠隔操作・制御と、ドライバーの意思のバランスも検証したい。AIを使ってより人間らしい運転・走行挙動を達成させるためには、なにが足りないか、どこを改善すべきかなどを、この実証実験で検証できれば」ともいう。
◆運行を務める名鉄バスの思想にもあわせてチューニング
この埼玉工業大学の後付け自動運転システムが路線バス事業者や自治体から注目されている点はもうひとつある。既存のバス車両を改造して、自動運転化できることと、路線バス会社各社にある安全思想・快適走行挙動にあわせて、自動運転システムをチューニングできる点。
今回は先進モビリティ日野ポンチョベースも、埼玉工業大学 日野レインボーIIベースも、運行を務める名鉄バス・知多乗合のオーダーに応えた自動運転マッピングなどのチューニングが施されている。
また、先進モビリティの日野ポンチョベース自動運転バスが、中部国際空港連絡道路を制限内の60km/hで自動運転で走ったり、料金所を他車とのペースをみながら自動で通過できる点も、進化を感じた。
◆いま先を行く自動運転バスに乗れるチャンス!
いっぽう管制室では、将来のドライバー無人化を想定して、「次は○○にとまります」などの路線バスの一般的な車内アナウンスや、ドア扱いなどは管制側でひとりの名鉄バス社員などが3台を同時確認していく。
愛知県で始まった2022年度の社会実装に向けた取り組み「自動運転社会実装モデル構築事業」の今回の常滑エリアの自動運転バス実証実験は、10月31日~11月6日に一般参加者もに乗車できる。事前予約は不要で、直接乗り場へ行けば乗れるから、気になる人は愛知県の公式情報をチェックしてみて。
●愛知県「自動運転社会実装モデル構築事業」参画事業者・団体・大学
エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ/NTTドコモ:事業統括、車両調達、遠隔管制システムの提供、人流データの提供、通信環境構築、5Gを活用したソリューションの提供
先進モビリティ:自動運転バス車両の提供、走行調律作業の実施
アイサンテクノロジー:3Dマップの作製、走行調律作業の実施
埼玉工業大学:自動運転バス車両の提供
ティアフォー:自動運転OS Autowareの運用支援
岡谷鋼機:社会実装に向けたアドバイス
損害保険ジャパン:自動運転リスクアセスメント
名鉄バス/知多乗合:遠隔管制者、車内保安員、交通事業者としての運行支援
愛知道路コンセッション:中部国際空港連絡道路において磁気マーカシステムを活用するための環境提供
シーキューブ:磁気マーカ敷設
愛知製鋼:磁気マーカシステム「GMPS」の提供
イオンモール常滑:遠隔管制室の設置場所提供等
東海理化:遠隔監視の映像を統合するシステムの提供