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BMW、燃料電池の自社生産を開始…「X5」ベースの『iX5』に搭載へ
BMWグループ(BMW Group)は8月31日、燃料電池の自社生産をドイツ・ミュンヘン工場で開始した、と発表した。2022年内から少量を生産するBMW『iX5ハイドロジェン』に搭載される予定だ。
◆トヨタ自動車と共同開発
BMW iX5ハイドロジェンは、BMWグループが取り組むゼロ・エミッション・モビリティの方向性を提示し、また世界中の顧客の移動手段の必要性に対して、さまざまな駆動技術を用意するための研究の成果になるという。
水素燃料電池技術は燃料の補給が短時間に行え、航続が長く、従来型の動力を搭載する車両と同等の利便性と多用途性が得られるため、大きな可能性がある。BMWグループは、2013年に始まったトヨタ自動車との協力の一環として、水素燃料電池駆動システム分野の開発を推進している。
両社は、製品開発協力協定のもと、水素燃料電池自動車向けの燃料電池パワートレインシステムとスケーラブルなモジュール式コンポーネントに取り組むために力を合わせている。トヨタとの協力による燃料電池は、BMWグループが開発した燃料電池スタックやシステム全体とともに、BMW iX5ハイドロジェンに搭載される。
◆X5をベースに燃料電池車専用のエクステリアを採用
BMW iX5ハイドロジェンは、SUVの『X5』をベースにした燃料電池車だ。iX5ハイドロジェンのデザインには、X5をベースにしながら、革新的で持続可能なキャラクターに焦点を当てたアクセントを細部に取り入れる。
外観には、「BMW iブルー」のアクセントが添えられた。アルミホイールも専用デザインとなり、燃料電池車であることを示している。キドニーグリルの内側の縁取り、22インチのエアロホイールのインサート、リアバンパーの外側部分のアタッチメントも、BMW iブルー仕上げだ。インストルメントパネルのエントリーシルとカバートリムには、「hydrogen fuel cell」の文字が配されている。
フロントの冷却エア開口部を覆うメッシュインサート、リアバンパー、ディフューザーも、専用デザインとした。キドニーグリル周囲の装飾、2つの外気取り入れ口、リアエンド下部トリムのパーツは、3Dプリントを使用して部品を製造するBMWグループのアディティブマニュファクチャリングキャンパスから供給される。アディティブマニュファクチャリングにより、部品の高速で柔軟性の高い生産が可能に。その一部は、従来の生産方法では不可能な幾何学的形状を備えているという。
エアロホイールには、天然ゴムとレーヨンを使って持続可能な方法で製造されたタイヤを組み合わせる。その素材は、森林管理協議会(FSC)組織の基準に準拠して抽出された。BMWグループは、認定された天然ゴムとレーヨンのみで作られたピレリ製タイヤを市販車に採用した世界初の自動車メーカーでもある。
◆374hpのパワーはBMWの直6ターボエンジンの出力に匹敵
BMWグループの第5世代のEVパワートレイン「eDrive」が搭載される。電気モーターは最大出力374hpを引き出す。374hpのパワーは、BMWの直列6気筒ガソリンターボエンジンの出力に相当する。これにより、BMWブランドらしいドライビングダイナミクスを可能にしているという。モーターの上に配置されたバッテリーは、追い越しや加速時にブースト電力を供給する。
燃料電池システムは、水素と酸素の化学反応によって、最大170hpの電気エネルギーを生み出す。燃料電池の下にレイアウトされる電気コンバーターは、電圧レベルを電動パワートレイン、ブレーキエネルギー、燃料電池からのエネルギーによって供給されるバッテリーの両方の電圧レベルに適合させる。iX5ハイドロジェンには、700バールの水素タンク2個が搭載されており、CFRP製のこのタンクには、最大6kgの水素を積むことができる。水素の充填にかかる時間は3~4分、としている。