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メルセデスベンツ Gクラス のEV、航続延ばす新バッテリー技術を初搭載へ

  • 《photo by Mercedes-Benz》
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メルセデスベンツは5月19日、現在開発を進めている『Gクラス』のEVの『EQG』に、オプションでシラ・ナノテクノロジーズ社のシリコンアノード技術を採用したリチウムイオンバッテリーを、メルセデスベンツで初搭載すると発表した。

◆エネルギー密度を最大40%増加させてセルレベルで800Wh/l以上を可能に
シリコンアノード技術は、安全性やその他の性能を損なうことなく、電池のエネルギー密度を高める。現行のEV向けバッテリーと比較して、シラ・ナノテクノロジーズ社の技術は、エネルギー密度を20~40%増加させ、セルレベルで800Wh/l以上を可能にする。これにより、メルセデスベンツは同じバッテリースペースに多くのエネルギーを蓄電できるようになり、将来のEVの航続が大幅に拡大することが見込まれるという。

シリコンアノード技術を採用したリチウムイオンバッテリーは、シラ・ナノテクノロジーズ社の米国ワシントン州の工場で100%再生可能エネルギーを使用して製造される。このバッテリーを市販EVに搭載するのは、メルセデスベンツが最初になるという。GクラスのEVにこのバッテリーがオプション設定されるのは、2020年代の半ばとなる見通しだ。

メルセデスベンツは2019年、将来のEV向けバッテリーの研究開発の一環として、シラ・ナノテクノロジーズ社に出資した。今回のバッテリー供給契約は、パートナーシップの次のステップで、EVの大手メーカーになるというメルセデスベンツの戦略における重要なマイルストーンを示しているという。

◆Gクラスのデザインを維持しながらEV化した『コンセプトEQG』
すでにメルセデスベンツは、EQGを示唆したスタディモデルとして、『コンセプトEQG』を発表している。コンセプトEQGは、ほぼこのままのデザインで、市販版のEQGとして登場する予定だ。

コンセプトEQGは、Gクラスのデザインの伝統に従い、ひと目でGクラスとして認識できることを目指した。スクエアなボディ形状はGクラス譲り。照明付きのストライプは、ボディサイドの保護ストリップを視覚的に際立たせる。ツートンカラーのボディは、上側がグロスブラック、下側が光沢アルミ仕上げとした。

コンセプトEQGのフロントには、現行Gクラス同様、丸いヘッドライトが採用された。内燃エンジン搭載のGクラスのフロントグリルは、濃いブラックのグリルに変更された。このブラックグリルには、照明付きの立体的な星がアクセントとしてあしらわれる。その周囲には、「メルセデスEQ」モデルに共通するブルーのリスパターンが配された。ブラックグリルの外側には、ライトストリップが付く。ドアミラーの丸い照明が、ヘッドライト周囲のデイタイムランニングライトとコーディネートされている。

22インチのポリッシュドアルミホイールは専用デザインとした。リアのスペアタイヤカバーに代えて、白いイルミネーションのアクセントが付いたボックスを装着する。そのデザインは、充電用のウォールボックスがモチーフだ。ボックスの中には、充電ケーブルなどを収納できる。ルーフには、ハイグロスブラックのフラットルーフラックが付く。中央には「G」のロゴが配された。ルーフラックのフロント側には、白色LEDストリップが組み込まれており、オフロードでのサーチライトの現代的な解釈になるという。ルーフラックの後部には、赤いLEDストリップがレイアウトされている。

◆各車輪の4つの電気モーターは個別に制御可能
コンセプトEQGは、デザインだけでなく、メカニズムもGクラスらしく、妥協のないオフロード車を目指した。頑丈なラダーフレームをベースにする。シャシーの設計は、Gクラスと同様、オフロードへの対応が重視された。フロントアクスルに独立懸架、リアにリジッドアクスルを採用しており、電動パワートレインを搭載するために、新開発された。

各車輪の近くに、4つの電気モーターが配置され、個別に制御できるため、オンロードとオフロードの両方で独自の走行特性を発揮するという。コンセプトEQGのオフロードリダクションは、2速ギアボックスによって作動し、Gクラスならではのオフロード性能を満たす、と自負する。

電動パワートレインの設計上の利点も、オフロードで生かされる。ラダーフレームに内蔵されたバッテリーにより、低重心を実現する。電気モーターは稼働時から実質的に最大トルクを発生するため、コンセプトEQGと市販バージョンのEQGは、大きな牽引力とコントロール性を備える、としている。