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トヨタ、過去最高の営業益2.9兆円—近副社長「13年間かけて体質改善」[新聞ウォッチ]

  • 《写真提供 トヨタ自動車》
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トヨタ自動車が発表した2022年3月期連結決算は、円安も追い風となって本業のもうけを示す営業利益が前期比36.3%増の2兆9956億円となり、6年ぶりに過去最高を更新した。

この日、オンラインでの記者会見には豊田章男社長の姿はなかったが、4月に“筆頭副社長”に就任したばかりの近健太副社長が「(過去最高の)この決算は1年間の単年度の業績ではあるが、(リーマン・ショックで赤字転落した2009年3月期から) 13年間かけて“今日より明日”と長く続けて体質改善を積み重ねてきた成果だ」と強調した。

きょうの各紙にも「トヨタ営業益2.9兆円、前期国内企業で過去最高」(日経)などと、朝日、日経が1面、読売、産経が2面の総合面で報じたほか、関連記事を経済面でも取り上げている。毎日と東京は経済面のみの掲載である。

このうち、読売は「トヨタ資源高警戒、3月期最高益、半導体不況も来期減益予想」とのタイトルで、「取り巻く環境は厳しく、23年3月期は一転、減益を予想する。原材料費の高騰や半導体不足といった逆風をはね返せるかどうかが問われる」と指摘。

また、朝日も「トヨタ不安も抱える最高益、原材料価格高騰・部品不足が影」。記事では「異例のペースで進む原材料の値上がりは、これから一段と重くのしかかる。生産レベルをうまく回復できるのかも暗雲が立ち込めている」とも伝えている。

さらに、産経は「トヨタ原材料高重し、今期減益予想値上げも視野」として、決算会見で価格転嫁の可能性についても示唆したことにも触れている。

決算会見では長田准執行役員が「日常の足になる軽自動車や小型のコンパクトカーなどは難しいが、車種地域をきめ細かくチェックしていきながら(高級車の値上げの)検討を進めたい」と述べた。が、日経は「国内ではコストアップ分の新車価格へのすぐの転嫁はこれまでなく、消費者の反応は未知数」としながら「今期に値上げで見込む約4500億円の利益押し上げが,もくろみ道りになるかが問われる」とも報じている。

それも道理で、相変わらず“値引き商法”が定着している日本市場でも一部の高級輸入車のような強固なブランド力があり、少ない台数を売るのであればいいが、大量販売が前提の日本車はそう簡単に値段を上げられないのが実情。現時点では世界情勢が安定して原材料価格が落ち着いてくれるのを期待して耐えるしかないのが本音のようだ。

2022年5月12日付

●トヨタ最高益2.8兆円、22年3月期、26%増、円安押し上げ(読売・2面)

●パナ売上高7兆円回復、増収増益、EV向け電池好調(読売・8面)

●マツダ・三菱自も操業を停止、ロシアの工場、日系自動車大手全社に(朝日・8面)

●中国新車販売48%減、4月ゼロコロナ政策生産停滞(朝日・9面)

●ガソリン価格下落171円10銭、4週連続値下がり(毎日・7面)

●高齢者実車検査あすから、運転技能見直す機会に(毎日・27面)

●経済安保法が成立、秋以降施行、半導体など供給網強化(産経・1面)

●EVレースで個性磨く、スバル・日産、市販車開発に活用(産経・11面)

●ルノーEV、3社協議開始、新会社、日産・三菱自に参画打診(日経・15面)

●スズキ3期ぶり減益、今期最終16%減、資産売却の反動(日経・17面)

●マツダ前期上振れ、純利益816億円、米で販売好調(日経・17面)