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フェラーリ『SP48 Unica』、ひとりの顧客のために製作…720馬力ツインターボ搭載
フェラーリは5月5日、1台限りの特別車『SP48 Unica』(Ferrari SP48 Unica)を欧州で発表した。あるクライアントの希望に添ってデザインされた唯一無二のビスポークモデルになるという。
◆ベース車両の『F8トリブート』を大幅にデザイン変更
SP48 Unicaは、デザイン部門の「フェラーリ・スタイリングセンター」が、『F8トリブート』のプラットフォームをベースにデザインした2シーターのスポーツベルリネッタだ。
矢尻のようなフロントの形状が特長だが、これは主に、ヘッドライトのデザイン変更と、それに伴うブレーキ用エアインテークの位置変更の効果になるという。F8トリブートとの大きな違いが、フロントバンパーとリアスポイラー下にあるエンジン冷却用のエアインテークだ。また、フロントグリルも完全に再設計されている。
フロントのバイザーのイメージは、サイドウィンドウの縮小とリアスクリーンの廃止で強調されている。ひとつの金属塊を彫り込んだようなSP48 Unica の力強いたくましさを印象づけているという。真上から見ると、強調されるのがルーフ中央部。そのグラフィックは、リアウィング手前のカーボンファイバー製エンジンカバー後部に設けられたエアインテークと対応しているという。
奥に深いグリルは、プロシージャル手法によって、通過する空気の量が最大となるよう、各部分が最適な角度に設計された。インタークーラー用インテークをサイドウィンドウのすぐ後方に配置し、これによってボディ側面のインテークを縮小した。また、リアのオーバーハングを延長したことで、ルーフエリアによるリフトが低減され、リアのダウンフォースが増大しているという。
◆廃止されたリアスクリーン
キャビンは、廃止されたリアスクリーンを除いて、F8 トリブートのデザインを受け継いだ。ただし、カラーとトリムの組み合わせは、SP48 Unica専用だ。例えば、特別に開発されたレーザーパンチング加工を施した黒いアルカンターラが、シートやインテリアトリムの大部分に使われている。
その下には、ボディカラーに合わせて、虹色に輝く赤みの強いオレンジのファブリックを使用した。ここには、フロントグリルに見られる六角形のモチーフが取り入れられている。
コックピットは、同じ六角形のモチーフが、光沢のあるシルカバーにレーザーエンボス加工であしらわれている。また、マット仕上げのカーボンファイバーを配し、それを「グリジオ・カンナ・ディ・フチーレ」(ガンメタル・グレー)のアクセントと組み合わせた。
◆0~100km/h加速2.9秒で最高速は340km/h
ミッドシップに搭載されるのは、F8トリブート譲りの排気量3902ccのV型8気筒ガソリンツインターボエンジンだ。最大出力は720hp/8000rpm、最大トルクは78.5kgm/3200rpmを獲得する。0~100km/h加速を2.9秒で駆け抜け、最高速は340km/hに到達する。
このエンジンは、ターボラグを感じさせることなく720hpの出力を発揮し、同時に刺激的なエグゾーストサウンドを奏でる。自然吸気エンジンに匹敵するこの瞬発力には、先進のビークルダイナミクスソリューションが貢献しているという。
マネッティーノの「RACE」ポジションで、「フェラーリ・ダイナミック・エンハンサー(FDE+)」を作動させることもできる。これにより、さらに多くのドライバーが限界域でのパフォーマンスを引き出し、コントロールできるようになったという。バージョン「6.1」のサイドスリップ・アングル・コントロール・システムも搭載している。