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HVを超えたEV世界販売、それでもホンダ三部社長「30年、35年もHVは武器」[新聞ウォッチ]
きのう(4月12日)は各メディアの自動車を担当する記者にとって、あわただしい1日になったようだ。
午前10時からはホンダが、東京・青山の本社で、三部敏宏社長らが「四輪電動ビジネス」の説明会を開き、今後10年間で電気自動車(EV)の開発などに5兆円を投じ、2030年までにEV30車種を投入すると発表した。
また、午後1時半からトヨタ自動車がオンラインで新型車の発表会を開いて、同社として初の専用EVモデル『bZ4X』を国内の個人向けに5月12日から定額利用サービス(サブスク)の「KINTO」限定で発売すると発表した。
きょうの各紙にも両社の発表記事を取り上げているが、「トヨタ初のEV専用モデル、個人向けサブスク申し込み来月から」と大きく報じた毎日を除くと、読売や朝日、産経、東京などは「ホンダEV5兆円投資」のタイトルで、ホンダの電動化戦略を経済面のトップ記事で掲載している。
このうち、産経は「ホンダ、当面HV頼み」として「30年のEV比率は4割程度にとどまり 、当面はハイブリッド車(HV)が電動車のかなりを占め、収益を支える状況が続く」と解説。さらに「充電インフラの整備やコスト低減が欠かせないEVより、使い勝手がよいHVという現実路線を歩んでいるうちに、世界的に進むEVシフトから取り残される恐れもある」とも伝えている。
1年前には日本の自動車メーカーの中でいち早く「脱エンジン」を宣言したホンダの三部社長だが、この日の説明会では「30年、35年でもHVは(収益性でも)武器となる」とも発言。2024年前半に本格投入するEVが商用の軽自動車というのも期待外れであり、EVシフトには慎重な姿勢をみせていた。
一方、トヨタも初のEV専用モデルをサブスクにした背景について、朝日は「高額車両定額で負担感軽減、電池劣化で下取り下落回避」などと解説。発表会でも前田昌彦副社長らが「EVに対するお客様の不安解消」を重ねて強調していた。
そんな中、きょうの日経が1面トップで「2021年に世界のEVの新車販売台数が約460万台と20年の2.2倍に増え、初めてHVを上回った」と報じた。「低価格帯の車種が人気の中国で新車の1割を占め、温暖化対策を掲げてEVを後押しする欧米でも販売が好調だ」と伝えている。EVの主導権争いが自動車産業の構図を変えるのは間違いないようだが、サッカーに例えると、ワールドカップを目指すのか、それとも国内のJリーグで戦うのかによって電動化戦略も異なる。きょうのそれぞれのニュースを読んで、ユーザーは不安の解消どころか、頭の中は益々混乱してしまいそうだ。
2022年4月13日付
●ガソリン補助継続、政府・与党方針、「トリガー」なお検討(読売・2面)
●ホンダEV5兆円投資、30年までに30車種投入(読売・8面)
●トヨタ、初の本格量産EV「bZ4X」サブスク限定来月12日から(読売・8面)
●NY地下鉄駅で発砲、16人負傷、通勤帯男が逃走(朝日・1面)
●EV普及サブスクが鍵、高額車両定額で負担感軽減、電池劣化で下取り下落回避(朝日・7面)
●テスラCEOツイッター役員一転辞退(毎日・7面)
●ホンダ、当面HV頼み、EV移行遅れ取る恐れ(産経・9面)
●マツダ、部品調達難で再び工場停止(産経・9面)
●掘削機破損で工事停止、外環道トンネル、半年程度(東京・22面)
●EV世界販売、HV超え、昨年460万台主導権争い加速(日経・1面)
●華流EV世界へ、「自動車強国」という野望(日経・2面)
●トヨタ、世界生産1割減、5月、計画比部品供給網が混乱(日経・15面)