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メルセデスベンツ GLC 次期型、全車電動化へ…PHVとハイブリッド
メルセデスベンツは3月29日、次期『GLC』(Mercedes-Benz GLC)のプロトタイプの写真を公開した。
現行GLCは2015年に欧州デビューし、2016年には日本市場にも導入された。『Cクラス』の車格を備えたSUVとして、メルセデスベンツの主力車種のひとつになっている。2世代目となる次期GLCは現在、プロトタイプによる最終冬季テストを行っている段階だ。正式発表は2022年秋を予定している。
◆2.0リットルガソリンターボエンジンは最大出力258hp
次期型には、最新の『Sクラス』や『Cクラス』のテクノロジーを導入する。インフォテインメントやデジタル化されたインテリアをはじめ、「AIRMATIC」やリアアクスルステアリングを採用する。すべてのガソリンエンジンとディーゼルエンジンに、ハイブリッドなどの電動化技術を搭載する。プラグインハイブリッド車(PHV)は、EVモードの航続を100km以上に引き上げ、オフロードでのゼロエミッション走行も可能にしている。
ガソリンエンジンは、「M254」型と呼ばれる2.0リットル(排気量1999cc)の直列4気筒ターボで、最大出力258hp、最大トルク40.8kgmを発生する。現行型に対して、最大出力は同数値だが、最大トルクは3.1kgm引き上げられた。
このM254型ガソリンエンジンには、摩擦を低減するシリンダーコーティングの特許技術「NANOSLIDE」、シリンダーホーニングの「CONICSHAPE」、エンジンに直接配置された排気後処理システムを採用している。
◆ディーゼルエンジンは最大トルク56.1kgm
ディーゼルは「OM654M」型2.0リットル(排気量1993cc)直列4気筒ターボで、ターボが1個と2個の2つの仕様がある。ひとつの仕様は、最大出力265hp、最大トルク56.1kgmを獲得する。
排気後処理システムとして、窒素酸化物を還元するためのNOx貯蔵触媒コンバーター、窒素酸化物の量を減らすための特別なコーティングを施した「DPF」(ディーゼル・パティキュレート・フィルター)、AdBlueの定量注入による選択的触媒還元を行う「SCR」触媒コンバーターが採用される。車両のアンダーボディにも、SCR触媒コンバーターを追加した。このフロア下のSCR触媒コンバーターにも、AdBlueが備わる。
ガソリン、ディーゼルエンジンともに、トランスミッションと一体設計された第2世代のスターターオルタネーターの「ISG」で電動化している。ISGは、インテグレーテッド・スターター・ジェネレーターの略。ISGは、エンジンとトランスミッションの間に配置された電気モーターで、オルタネーターとスターターの機能も兼ねている。
第2世代のISGは、最大23hpのパワーと最大25.5kgmのトルクを引き出し、加速時などにエンジンをアシストする。48ボルトの電気システムを搭載している。
◆PHVはEVモードの航続が現行の2倍の100km以上に
PHVは、ガソリン2グレード、ディーゼル1グレードの合計3グレードが用意される。3グレードともに、エンジンは最新のガソリンとディーゼルをベースにしている。
第4世代の電気モーターは、PHV用に特別に開発された9速AT「9Gトロニック」と一体設計されている。このモーターは最大出力136hp、最大トルク44.8kgmを引き出す。現行型のモーターは、最大出力122hp、最大トルク44.8kgm。次期型では、モーターの出力が14hp引き上げられる。
次期GLCのPHVは、WLTPサイクルによるEVモードの航続が、100kmを超える見通し。現行型のEVモード49kmに対して、倍増することになる。メルセデスベンツは次期GLCのPHVのEVモードの航続は、全輪駆動SUVの新基準、としている。