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アストンマーティン初のPHVは950馬力、『ヴァルハラ』は2024年前半から納車へ

  • 《photo by Aston Martin》
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アストンマーティンは2月23日、ブランド初のプラグインハイブリッド車(PHV)の『ヴァルハラ』(Aston Martin Valhalla)の納車を、2024年前半から開始すると発表した。

ヴァルハラとは、北欧の神話において、9の王国のひとつ「アスガルド」の壮大な館に由来している。近年のアストンマーティンは、スポーツカーの車名に「V」から始まる単語を用いており、ヴァルハラもその例に従う。

◆F1スタイルのプッシュロッドサスペンション
ヴァルハラのボディ構造は、新しいカーボンファイバー製コンポーネントを中心に構築されている。サスペンションは、フロントにF1スタイルのプッシュロッドサスペンション、リアにマルチリンクを採用した。マルチマチックアダプティブスプリング&ダンパーユニットは、サーキットモードを選択すると、ダウンフォースを最大化するために車高が下がる。公道走行用のモードでは、フロントアクスルリフトシステムがノーズを持ち上げて、段差などに配慮する。

カーボンセラミックマトリックスブレーキには、ブレーキ・バイ・ワイヤー・テクノロジーを採用する。タイヤは専用のミシュランで、フロント20インチ、リア21インチとした。目標乾燥重量は1550kg未満で、同クラスのライバルと比較して、比類なきパワーウェイトレシオを実現する、と自負する。

アストンマーティンのハイパーカー『ヴァルキリー』の空力哲学がフィードバックされたヴァルハラは、アクティブエアロダイナミクスやリアウイング、ベンチュリトンネルを通過するアンダーボディのエアフローを管理することによって、優れた空力特性を追求する。240km/h走行時のダウンフォースは600kgとした。また、前方に跳ね上がる2枚のドアを採用した。ルーフにまで延長された形状によって、乗降性を高めている。ルーフスクープがV8エンジンのインテークに直接エアを送り込み、追加のサイドインテーク、リアインテーク、ベントは、ボディ全体のデザインにスムーズに組み込まれる。

◆4.0リットルV8ツインターボにモーターの組み合わせ
ヴァルハラの心臓部には、モーターを備えた新開発のPHVパワートレインを搭載する。専用の4.0リットルV型8気筒ガソリンツインターボエンジンをミッドマウントした。このV8エンジンは、レスポンスを高めるために、フラットプレーンと呼ばれるクランクシャフトを採用している。

最大出力は750ps/7200rpmで、そのパワーをリアアクスルにのみ伝達する。調整可能なアクティブフラップを備えた軽量エキゾーストシステムは、エキゾーストパイプをルーフエンドに配置している。

2基の電気モーターは、フロントアクスルとリアアクスルにそれぞれ1基ずつ搭載される。エンジンとモーターを合わせたPHVシステム全体で、950psのパワーを引き出す。EVモードで走行する場合、バッテリー電力はフロントアクスルにのみ供給される。それ以外の走行モードでは、バッテリー電力はフロントアクスルとリアアクスルに分割され、各アクスルに送られる割合は走行条件によって常に変化する。特定の状況では、バッテリー電力の100%をリアアクスルに伝達することができ、最大のパフォーマンスを得るためにV8エンジンのパワーを補うという。

◆0-100km/h加速2.5秒で最高速は330km/h
このパワートレインには、新開発のパドルシフト付き8速デュアルクラッチトランスミッションを組み合わせた。PHVシステムの電気モーターを利用し、従来のリバースギアの必要性をなくすことで重量を削減した「e-リバース」と呼ばれる。このトランスミッションは、リアアクスルに電動LSDの「e-デフ」を備え、トラクションとハンドリングを追求している。

電気モーターのパワーは、低速走行時のコントロールとレスポンスを強化し、後退時にも使用される。さらに、電気モーターの瞬時に立ち上がるトルクにより、V8エンジンをサポートする。電気モーターとV8エンジンは、デュアルクラッチトランスミッション内で異なるギアを同時に選択できるため、パフォーマンスがさらに向上し、102kgmの最大トルクの伝達が可能になるという。

EVモードで走行する場合の最高速は130km/hで、航続は15km。予測されるCO2排出量(WLTP計測)は200g/km未満とした。ヴァルハラは0~100km/hを2.5秒で駆け抜け、最高速は330km/hに到達する。サーキット走行では、ドイツ・ニュルブルクリンク北コースのラップタイム目標を6分30秒に設定している。