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ヴァレオ、第3世代LiDAR「SCALA 3」を披露…CES 2022
フランスの大手サプライヤーであるValeo(ヴァレオ)は現地時間1月4日、米国ラスベガスで開催されたIT家電ショー「CES 2022」に、オンラインとリアルのハイブリッドで出展。2024年にも発売を予定する第三世代となるLiDARなど、新たなイノベーション技術を公開した。
◆次世代LiDAR「SCALA 3」、130km/h対応で24年投入
公開された第三世代のLiDAR「SCALA 3」は、第二世代では60~80km/hとしていた対応車速を130km/hにまで大幅に引き上げたのが最大の特徴だ。これは高級車を中心として自動運転「レベル3」の採用を相次いでいることを受けて投入されるもの。
オンラインで開催されたプレスカンファレンスに登壇したヴァレオのクリストフ・ペリヤDCEO(副最高経営責任者)は、「LiDARなしにレベル3を成し遂げることはできない。実際、世界で初めてレベル3を市場導入された2車はいずれもヴァレオ製を採用している」と述べ、SCALA 3の開発が採用がさらなる広がりに結びつくことへの期待を示した。
SCALA 3の対応速度を130km/hにまで引き上げることが可能になった背景には、単に周囲をセンシングするだけにとどまらず、人間の眼やカメラ、レーザーでは見えない200m先の物体をレーザービームにより検出する能力を備えたことにある。この知覚・分析機能により、ドライバーはより高い信頼性の下で高速走行を委ねることが可能となるのだ。
しかも、これらの情報はクラウドを介して周囲のコミュニティと共有することができる。道路上に潜在的な危険が発生した場合には速やかに他のクルマなどにも伝達され、安全な走行に貢献するのだ。この技術は自動運転を現実のもにする重要な技術となるのは間違いない。
さらにSCALA 3には車両近くを検知できるヴァレオ「NFL(ニアフィールド LiDAR)」をラインナップに追加した。これにより、車両は“安全のバブル”に包まれ、車両が始動するとすぐに360°全周のビジョンを表示可能となる。この結果、「死角のない走行が可能となって、たとえば歩行者などの道路利用者を危険にさらすことなく前進できる」(ペリヤDCEO)というわけだ。
◆電動バイクやロボタクシー向け48Vシステムを開発
急速に進む電動化についてペリヤDCEO は、「ヴァレオは車電動化のパイオニアとして、ハイブリッドからEVに至るあらゆるニーズをカバーするサプライヤーのリーダー的な存在」とし、その上で「2022年末までにヴァレオの電動パワートレインは100種類に近いEVとプラグインハイブリッド車に搭載される予定」であることを明らかにした。
中でも注目なのが48Vシステムを採用するフル電動の48Vモーターサイクルだ。この技術は乗用車向けに開発してきた48Vシステムを直接応用したもので、これはロボタクシーや運搬用ドロイドなどにも展開されるという。これを機に「ヴァレオは費用対効果の高い方法で車両にこれを採用し、特に都市向けの小型車両などにも新しい形態のモビリティとして提案していく」(ペリヤDCEO)考えを示した。
ヴァレオが得意とするライティング・テクノロジーも紹介された。ここでは前方を照らすインテリジェントなライティングシステムにとどまらず、道路脇のサイクリストを照らしてドライバーや他のクルマにその存在を知らせる。また、前方で横断している歩行者を照らして後続車に警告。これは死亡事故の減少に直接的に貢献するとした。
拡張仮想現実を活用した新技術も見逃せなかった。これはバーチャルで車に乗り、あたかも現地へ行ったかのような体験をドローンのような視点で提供されるもので、「VoyageXRパノラマ」と名付けられた。プレスカンファレンスでは、CES 2022が開催されているラスベガスを舞台に紹介。バーチャルで走行するクルマがラスベガス・ストリップを走行し、まるでクルマの上を飛ぶドローンで見ているかのように周辺を表示した。ペリヤDCEOは「今後はリアルタイムで友人や家族らと共にバーチャルな旅に出掛けられるようになる。これこそ拡張仮想現実の未来」とした。
なお、CES 2022にはこれらの技術をリアルでも展示し、会場ではヴァレオの電動パワートレインを搭載したメルセデスベンツ『EQS』も出展された。