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日産EV『ニューバード』登場、1986年製ブルーバード改造…英工場35周年
日産自動車の欧州部門は12月16日、英国サンダーランド工場の35周年を記念して、1986年に同工場で最初に生産された『ブルーバード』(日本名:『オースター』に相当)をEV化した世界に一台の特別モデル、『ニューバード』を発表した。
◆オースターの「ユーロハッチ」が英国製日産車の第一号に
初代オースターは1977年、『バイオレット・オースター』として誕生した。1978年から、オースターを名乗った。1981年には、2代目にモデルチェンジ。『オースターJX』の名前が与えられた。1985年に登場した3代目は、再び車名をオースターに変更した。ボディは当初、4ドアセダンのみだった。
3代目オースターには、4ドアセダンのみの『スタンザ』との差異化を図るために1986年、「ユーロハッチ」のサブネームを付した5ドアハッチバックセダンが追加された。このモデルが1986年、英国サンダーランド工場でブルーバードとして生産を開始し、同工場製の最初の1台となった。
◆バッテリーは前後2か所に分割レイアウトされ重量配分を追求
日産自動車の欧州部門は今回、英国サンダーランド工場の35周年を記念して、1986年に同工場で最初に生産されたブルーバードのうちの1台をEV化したニューバードを発表した。
ニューバードには、『リーフ』のEVパワートレインが移植された。オリジナルのガソリンエンジンとギアボックスが取り外され、リーフのモーター、インバーター、蓄電容量40kWhのバッテリーパックが搭載された。バッテリーモジュールは、フロントの元エンジンルームと、リアのトランクの2か所に分割してレイアウトされ、最適な重量配分が追求された。
パワーステアリングやブレーキなどにもアップデートや変更が加えられ、電動アシストが得られるようにした。バッテリーパック搭載による重量増に対応するために、カスタムメイドのサスペンションも取り付けられた。フロントの日産エンブレムは、車が静止している時、LEDバックライトによって照らされるように改造された。
◆1回の充電での航続は最大約210kmを想定
元の燃料フラップ部分が、充電ポートに変更された。バッテリーは最大出力6.6kWで充電できる。メーター内の燃料計が、バッテリーの充電状態を示すインジケーターに変更されている。0~100km/h加速はおよそ15秒。1回の充電での航続は、最大で約210kmが想定されるという。
エクステリアには、英国ロンドンを拠点とする日産デザインヨーロッパが、特別な装飾を施した。これは、1980年代のテクノロジーデザインと21世紀の美学を組み合わせたものだという。
EVへの改造は、イングランド北東部のダーラムに拠点を置くKinghorn Electric Vehicles社が担当した。同社は、日産リーフから取り外されたモーター、インバーター、バッテリーを使用して、旧車のEVへの改造を手がけている。
◆英国サンダーランド工場で18万台以上のブルーバードを生産
ブルーバードは、初代が1959年登場という日産の名車のひとつだ。2001年の10代目まで、40年以上に渡って生産された。2000年から日本では、『ブルーバード・シルフィ』にその名前が受け継がれたが、2012年のモデルチェンジで車名が『シルフィ』となり、そのシルフィも2020年9月末、日本国内向けの生産を終了した。
ブルーバードは英国サンダーランド工場において、1986~1990年までに、合計18万7178台が生産された。当時、英国サンダーランド工場で、ブルーバード1台あたりの生産に要した時間は、22時間以上。35年後の現在、製造技術の進歩により、リーフの1台あたりの生産時間は10時間に短縮された。
すでに日産リーフは、英国サンダーランド工場において、20万台以上を生産し、ブルーバードの18万7178台を上回った。なお、英国サンダーランド工場で最初にラインオフしたブルーバードは、英国の博物館に展示されている。