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グーグル、アップル、ソニー…相次ぐ自動車業界への異業種参入の理由と展望
グーグルやアップルなど情報通信業、あるいはソニーやダイソンなど電機メーカーなどが、電気自動車や自動運転車への関心を高めてきた。それらは、必ずしも自社開発や販売ではなく、機能面での支援などのケースもあるが、他業種からの参入はなぜ起こるのだろうか?
自動車業界では、CASE(コネクティビティ・オートノマス・シェアード・エレクトリック)とかMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)の言葉が数年前から話題となり、ネット接続・自動運転・共同利用・EVへ世界的な自動車メーカーの働きかけが急になり、そうしたクルマを使った消費者サービスが事業化を目指している。
これら一連の動きは、クルマがもはや個人で所有し移動する目的だけの商品ではなく、社会を円滑に機能させるための社会基盤の一部として期待される製品になったことを示している。まだ、完璧な形で実現していないが、スマートフォンやコンビニエンスストアのように、暮らしになくてはならない道具やサービスの一つにクルマがなっていこうとしている過渡期なのだ。そこで、これまでの自動車業界とは別の他業種からの参入が話題となった。
一方、クルマは数多くの部品で構成され、走行性能だけでなく、快適性や安全性など、幅広い機能を高い水準で調和させる商品なので、他業種からの参入は容易ではないとの意見がある。
もちろん、その通りだ。しかし、実は自動車産業から定年退職や、中途採用などで人材が外へ流れており、肥大化した自動車産業ではなかなか新しい挑戦をしにくいと感じる人々が、転職や自ら起業している実態がある。それは新車開発だけでなく、製造技術の分野も含まれる。そうした人材が、すでに韓国や中国に入り込んでいるので、近年の両国の新車は急速に商品性を高めている。
こうした情勢をみれば、他業種からの参入も不可能ではないといえる。そして消費者と直接関わってきた他業種は、消費者が何を望んでいるかを直接知っており、クルマに求められる新たな価値に敏感な側面もある。
また、世界的に自動車の環境や安全に対する標準化の動きがあり、その一つが国際連合によるWP29(自動車基準調和世界フォーラム)という組織だ。日本も加入している。こうした組織ができることで、安全性も世界で販売される新車は同等の性能を有する方へ向かっていくはずだ。
ただ、品質の保持や、販売後の保守点検・整備など、自動車産業の裾野は広い。それでも、米国のテスラは、ネット販売と自社によるサービス拠点を持たなくても、協力関係にある整備工場への依頼やインターネットを経由して車両の状況を点検することなどをはじめており、新車を買うことから保守点検などがインターネット化され、さらに、改良事項もインターネット経由でダウンロードできるようにもなっている。
一朝一夕なことではないとしても、他業種や新興勢力が、EVを軸にブランドを立ち上げることに、かつてほどの障壁はないといえそうだ。