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ベントレー『ブロワー』、90年ぶりに12台を復刻生産…最初の1台が完成
ベントレーは8月19日、名車『ブロワー』の復刻モデルとして12台を限定生産する『ブロワー・コンティニュエーション・シリーズ』(Bentley Blower Continuation Series)の最初の1台が完成した、と発表した。
◆オリジナルのブロワーは4台のみ製造
オリジナルのブロワーは、ヘンリー・ティム・バーキン卿のレースチームのために、4台が製造された。4台のチームカーの中で、ベントレーが所有する2号車(シャシー番号「HB3403」、エンジン番号「SM3902」、ナンバー「UU5872」)を、ブロワー・コンティニュエーション・シリーズのために分解。一つひとつの部品を残らずレーザースキャンするところから、プロトタイプの製作は始まった。
収集したデータをもとに、新たなブロワー用のパーツ1846個が設計され、手作業で製作された。ただし、そのうち230個はアッセンブリーであり、その中にはエンジンも含まれるため、ねじやインテリアトリムなどの個々のパーツを含めると、実際には数千のパーツが製作された。
こうしたパーツやアッセンブリーは、ベントレーマリナープロジェクトチームのエンジニア、職人が、英国内のスペシャリストやサプライヤーらと協力して作り上げた。ブロワー・コンティニュエーション・シリーズは、ベントレーマリナーの「クラシック」部門が顧客のために手がけた初めてのプロジェクトになる。
◆各界のスペシャリストが主要パーツを再現
ベントレーマリナーはブロワー・コンティニュエーション・シリーズの製作当初から、パーツを外部に依頼することを計画していた。今回のプロジェクトでは、何世代にもわたって伝統的技術を継承している英国を代表するスペシャリストに協力を仰いだ。
シャシーは、イスラエルのニュートン&サンズ社が極厚鋼板を手作業で成形し、熱間によるリベット留めによって完成させた。同社は、蒸気機関車のボイラーやトラクションエンジンの製作を手がけてきた創業200年の歴史ある会社で、伝統的工法による金属の鍛造・成形加工を得意としている。
ブロワーの主要パーツのいくつかを忠実に再現したのはビスターヘリテージに拠点を置くビンテージ・カー・ラジエター・カンパニーだ。鏡面仕上げが施されたニッケルシルバー地金製ラジエターシェルや、スチールと銅板を打ち出し成形したフューエルタンクなどを手がけた。この会社はビンテージカーのラジエターやコンポーネントの製作・復元におけるトップメーカーであり、今回のような複雑かつ重要なパーツの製作に欠かせない存在という。
リーフスプリングとシャックルは、ウェストミッドランズにあるジョーンズ・スプリングのオリジナル仕様。鍛冶屋をルーツとし、75年近い歴史を持つ会社だ。ブロワーのシンボルであるヘッドライトは、シェフィールドにあるビンテージ・ヘッドランプ・レストレーション・インターナショナル社によって再現された。親子経営のこの会社は銀細工で知られ、オリジナルの仕様に従って、ビンテージデザインのヘッドランプを製作する技術は、世界的に高い評価を得ているという。
アッシュフレームは、ラドローにあるロマックス・コーチビルダーズ社が製作し、クルーのマリナートリムショップにて、職人らが最終仕上げを施した。ブロワーのボディは、25mに及ぶ人工皮革の「レキシン(Rexine)」で覆われている。ボディの内装はマリナーの職人の手によって仕上げられた。オリジナルのブロワーと同じく、シートの中身には計10kgの天然馬毛が使用されている。
◆最初の1台はオリジナルのブロワーと同じバーキングリーンで塗装
ブロワー・コンティニュエーション・シリーズの最初の1台は、特注のバーキングリーンで塗装された。これは、オリジナルのブロワーの色を再現したものだ。バーキングリーンのボディと同じ色のワイヤーホイールが足元を引き締める。折りたたみ式ルーフの色はブラック。内装は、グリーンレザーで仕上げた。
ブロワー・コンティニュエーション・シリーズの最初の1台は、機械的にはオリジナルモデルと同じ。ただし、安全面から、最新の電動燃料ポンプなどが採用された。元のダイナモの外観を維持しながら、より強力で信頼性の高いバッテリー充電を可能にする「ダイナター」も追加された。
エンジンは、WOベントレー独自の4「2分の1」リッターだ。アルミ製ピストン、オーバーヘッドカムシャフト、1シリンダーに4バルブ、ツインスパークプラグも採用した。前面に取り付けられているのは、スーパーチャージャーで、1920年代にアマーストヴィリアーズによって製作されたものを正確に再現した。エンジンの最大出力は240hp、としている。