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スバル BRZ 新型試乗、新井大輝選手が群サイでインプレッション…自身も新車購入
7月末に発売された新型スバル『BRZ』。海外ラリーで活躍するラリードライバー新井大輝選手が「群馬サイクルスポーツセンター」(=群サイ、群馬県みなかみ町)でその走行会を行なった。新井選手に舗装ワインディングでのインプレッションを聞いた(8月12日)。
新井選手の父親は、いまも全日本ラリー選手権JN1クラスで活躍する新井敏弘選手だ。自身は20歳でラリーデビュー、2015年には全日本ラリーで親子1-2フィニッシュを飾り、翌年からトヨタの育成プログラムで海外ラリーに参加。近年は全日本ラリー選手権の他、ERCやWRCなど海外のラリーで活動を続けている。
今回の走行会は、新井選手が所属するクラブが主催するもの。スバルの協力により新型BRZの同乗走行会も開催された。同乗走行のドライバーは新井大輝選手と全日本ラリーで新井選手のナビを務める小坂典嵩選手。なお、ラリーではナビゲーターと呼ばれる助手席でコースの読み上げやサポートを行う選手が存在するが、正式名称はCo-Driver(コ・ドライバー)という。WRC(世界ラリー選手権)でもドライバー出身のナビは多い。
新井選手は、ことしの冬にすでに新型BRZのテストドライブを、同じ群サイで行っている。そのときは完全にスノーコンディションだった。雪でも前に進むBRZの性能を実感していたそうだが、今回はドライタ―マックでの試走で、本人も期待していた走りができたようだ(なおメディア枠の時間は雨が降り出しウェットコンディションとなった)。
新型BRZには、旧型より排気量が約400ccアップされた2.4LのFA24水平対向エンジンが搭載され、最大出力が235PSにアップしている(旧型搭載のFAエンジンは200PS)。また、姉妹車であるトヨタ『GR 86』(新型86)とは足回りの設定やECUの制御、ボディ補強がかなり異なっているとの報告もあがっている。
筆者も助手席で感じたのは、さらにしなやかになったリアのダブルウィッシュボーンの動きだ。荒れた群サイのギャップやうねりをうまくいなしてくれる。リアの接地感とトラクションがしっかりしている。
記者の同乗取材に応じてくれた新井選手によると、その秘密はボディ剛性の向上にありそうだ。「スバルの車作りというのは、車の安定感をあげて安心・安全に乗れることを考える。値段の割にオーバースペックになる(笑)。旧型はボディ剛性が弱くてリアが出やすい傾向があった。新型では全部突き詰められ、車として良くなった。剛性が上がった分ショックが動いている。だからしなやかに感じる」と解説。
試乗車は新型BRZ(3BA-ZD8)グレードS 6MTのモデル。なんらスペシャルチューンはされていない。旧型にはSACHSダンパーを装着したモデルがあったが、すべて純正・ラインオフの状態。「群サイはかなり荒れた舗装なんですが、え、いまギャップ越えたの? というくらい」と新井選手がいうくらいゴツゴツ感がない。ボディ剛性の向上により、サスペンションの各部がきっちり仕事をするようになり、純正でも社外品のスポーツダンパー並みということだろう。
エンジンについて新井選手は、旧型は4500rpm付近にトルクの抜ける谷があったが、新型にはそれがないという。「のびるから運転していてストレスがない。(取材時の)ウェットでアンダーもオーバーもでないから限界が高い」。
最後に、あえて新型の不満なところも聞いてみた。「自分ならもう少しロープロファイルにして、もっとダンパーに仕事をさせてみたい」とのことだ。
新井選手は、すでに新型BRZを購入済みで8月中か9月には納車される予定。意外にも新車で自分の車を購入するのは新型BRZが初めてだそうだ。自分専用のダンパーも開発したといい、いまから納車が楽しみだという。