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栃木県茂木町で自動運転バス…コースに踏切 6月20日まで

  • 《写真撮影 大野雅人》
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  • 《写真撮影 大野雅人》
  • (画像:栃木県ABCプロジェクト)
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  • 《写真撮影 大野雅人》
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  • 《写真撮影 大野雅人》
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クルマ・バイク好きがめざすツインリンクもてぎや、真岡鐵道 真岡線の終着駅がある栃木県茂木町。この山間の街に、自動運転バスが走り出した。「栃木県ABCプロジェクト」の中山間地域実証実験で、2025年度に自動運転バス本格運行をめざす栃木県の“第一手”だ。

この「栃木県ABCプロジェクト 自動運転バスに乗ろう@茂木町」は、真岡鐵道の終着駅・茂木駅を中心に、道の駅もてぎ(所要時間10分)・ふみの森もてぎ(15分)を往復する全3.7kmのルート。6月6~20日の月曜をのぞく13日間、9~16時の間に1日5往復・10便で運行する。

栃木県内在住者であれば、栃木県ABCプロジェクト特設サイト内の応募フォームで予約した人は無料で乗車できる。初日は自治体・開発チーム・メディアなどの関係者に公開し、栃木県の福田富一知事、茂木町の古口達也町長らがかけつけ、栃木県が初めて主導する自動運転バスが走り出した。

◆栃木県茂木町の自動運転バス、埼玉工業大学が保有する“生きた教材”が出動

今回の栃木県 中山間地域 自動運転バス試験運行に駆り出されたのは、埼玉工業大学が保有する自動運転バス。日野『リエッセII』に後付け自動運転システムを搭載し、全国各地の実証実験や内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)など参画し、進化を重ねている埼玉工業大学の“生きた教材”のひとつだ。

初日の関係者公開現場には、アイサンテクノロジー佐藤直人取締役、埼玉工業大学工学部情報システム学科 渡部大志教授、損保ジャパン 岡村真以子 主任(Tier IV)、建設技術研究所 鈴村雅彦 主幹らがその走りを見守った。

「今回のルートは狭い片側1車線の急カーブ・急勾配が続くルート。それでもAIによるマッピングは、実験を重ねるたびに早く正確になり、実用化にむけて着実に進化している」と話すのは、埼玉工業大学 渡部大志教授。

「今回は自動運転バスの外側・内側・システムの動きなどをリアルタイムにチェックできるように、Zoomでモニタ共有している。こうした情報が、アイサンテクノロジーなど地上スタッフに送られて、スマホでリアルタイムにみることができる」(埼工大 渡部教授)

◆自動運転バスが初めて踏切をわたる、真岡鐵道の列車と並走する構想も!?

今回の「栃木県ABCプロジェクト 自動運転バスに乗ろう@茂木町」試験運行ルートには、真岡鐵道 真岡線の踏切をわたる地点が2回ある。ひとつは茂木駅寄りの茂木街道踏切、もうひとつが道の駅もてぎ付近にある笠間街道踏切だ。

この区間は「県や町、コンソーシアムの考えでマニュアル(手動操作)に設定している。ほかの区間のようにオート(自動運転レベル2)で走ることもできるけど、今回は実用化を想定して、踏切通過については運転手が手動で運転するように設定している。茂木駅接着もそうした考えでマニュアルでとまる」(埼工大 渡部教授)という。

実際に乗ってみると、踏切の手前でいったん停止するまではオートで、踏切をマニュアルでわたり切り、運転手がオート始動ボタンを押すと、なめらかに自動運転へとつないでいくシーンを確認できた。

さらに興味深いのは、真岡鐵道 真岡線 列車と並走することも「プログラムで設定できる。構想中」とも。栃木県イメージのいちごラッピングを施した埼玉工業大学リエッセII自動運転AIバスと、モオカ14形気動車がいっしょに走る姿も、試験運行期間中にみられるかもしれない。

◆栃木県10か所で実証実験へ、埼玉工業大学はAI人材育成を加速

踏切以外の区間でも、リエッセIIベースの後付け自動運転システムの進化が、乗ってみてわかる。たとえば国道123号から本道レーンを分岐し、側道へ入っていくシーンもすべてオート。キビキビ走りながら安定した走行をみせていた。またその先の弾正町交差点でも急カーブと急勾配が続く区間を難なくオートで走っていく。それはまるで、人が運転してるかのように。

栃木県でいよいよ動き出した自動運転バス。2025年度の本格運用にむけて栃木県は、18市町41か所の提案のなかから地域特性や地域課題、地理的バランスなどを考慮し、実験候補か所を10か所にしぼり、今後4年間で試験運行を重ねていく構え。

また埼玉工業大学は、後付け自動運転システムを中型路線バス 日野『レインボーII』に搭載したバスを深谷観光バスに貸し、渋沢栄一の生まれ故郷 深谷市で「渋沢栄一論語の里 循環バス」として試験運行中。埼工大 渡部教授は「今後は、こうしたZoomによるモニタリングシステムを学生たちも共有し、課外活動や遠隔授業などを通して、AI人材育成を加速させたい」とも話していた。