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渋滞時ハンズオフ走行、スバル レヴォーグ の「アイサイトX」で体感…SIP試乗会
戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)では、第2期「自動運転(システムとサービスの拡張)」として、4月20日と21日の2日間にわたり、“自動運転の現在地”を広く告知することを目的としたメディア向け試乗会を開催した。
試乗会に参加したのは8団体。自動車メーカーがトヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業、スバルの4社。サプライヤーからはコンチネンタルとヴァレオが、自動運転のソフトウェアを開発するベンチャー企業であるティアフォー、金沢大学が参加した。ここでは、最初に試乗したスバル『レヴォーグ』の「アイサイトX」のレポートをお届けしたい。
◆巧みなまでの制御により、料金所やカーブで自然に加減速
アイサイトXは、GPSや準天頂衛星「みちびき」などからの情報と3D高精度マップを組み合わせることで、正確な自車位置を検出して把握。ステレオカメラやレーダーでは検知しきれない複雑な道路情報を認識し、高度な運転支援を実現するというスバル自慢のシステムだ。会場となったお台場から向かったのは横浜の大黒ふ頭PA。注目すべきポイントは渋滞時のハンズオフ走行とスムーズな発進アシストによる運転負荷の軽減だ。
その中で最初に体験したのは、車線変更をアシストする「アクティブレーンチェンジアシスト」だ。自動車専用道路上において約70~約120km/hで走行中、ドライバーがウインカーを操作するとステアリングを制御して車線変更のアシストを行う。この時、システムは隣の車線に車両がいるかどうかをセンサーが検知し、作動可能と判断するとドライバーはステアリングに手を添えているだけでシステムが車線変更してくれた。なお、ステアリングにはタッチセンサーが組み込まれており、トルクを入力しなくても認識してくれる。
さらに料金所の手前ではETCゲートを安全に通過できる速度(20km/h程度)にまで自動的に減速し、さらにカーブ手前でも曲率に合わせて適切な速度に制御する。通過後はセットした車速まで自動的に復帰するので、いちいちセットし直す手間がかからない。しかも、その際の減速が極めて緩やかに行われるので、その動作に対して安心していられるメリットは大きいと言える。同乗した説明員によれば、可能な限り減速し過ぎないよう設定されているそうで、この巧みなまでの制御によって不自然さを感じることはまったくなかった。
一方で、意外だったのは衛星での測位ができない場所が結構多かったことだ。高架下にとどまらず、分岐点などでもアイサイトXの機能がOFFされてしまうことがあったのだ。説明員によれば、首都高速は建物の影響を受けやすく、測位環境が厳しい。都市間高速ではここまでシビアにならないとのことだった。スバルは高精度マップにSIPと関わり合いのあるダイナミックマップ基盤の地図データを使用していない。その影響についても質してみたが、あくまで測位環境の問題と捉えているとのことだった。
◆渋滞時のハンズオフを実現すると同時に、万一の異常にも対応
渋滞時のハンズオフ走行は首都高速1号線下り路線上で体験した。この機能は自動車専用道路上で0~約50km/hの範囲内で可能になるものだ(実際は56km/hまで粘った)。視線は前方を視認していることが前提だが、50km/h以下になるとハンズオフ走行が可能となったことをインジケータが告知。ここからはステアリングから手を離しても追従走行が継続される。追従走行は完全停止にまで対応しており、約10分以内なら自動的に再発進できるという。
この時に忘れてならないのはドライバーは確実に前方を向いていなかればならないことだ。ドライバーモニタリングシステム(DMS)が赤外線カメラを使ってドライバーの顔も向きや視線を監視しているからで、この機能は「ドライバー異常時対応システム」とも連動する。そのため、仮にハンズオフ走行中に横を向いたりすれば、最初にアラームと共に「前方注意」の警告が行う。これでドライバーが前方を向けばハンズオフは継続する。
しかし、それでも前方を見ないと3秒後にはメーター内全体を赤枠で点滅する警告でステアリング操作を要求される。それでも反応がない場合は、ドライバーに異常があったと見なされてハザードを点滅しながらホーンを鳴らして速度を落とし、最後には直線区間を選んで同一線上に停止することとなる。見逃せないのが、システム介入による減速ではアクセルペダル操作の無効化や、停止後に電子パーキングブレーキを作動させて二次被害を抑制していることだ。万一の事態にも適切に対応できているのがアイサイトXと言えるだろう。
より遠くまで出掛ければ当然ながらドライバーの疲労度は増す。今回の公道試乗は首都高速を周回する、いわば近距離での走行だったが、安全運転支援機能としてドライバーの負担軽減にも貢献するシステムとしてアイサイトXは極めて優秀であることを実感した。自動運転レベル2として、その実力は現時点でもっとも優れた制御を行うシステムと断言できるレベルにあると思う。