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テーマは「ワーケーション」…トランポづくりのプロが仕上げたNV350キャラバンは「中身で勝負」
コロナ禍で積極的なリモートワークが推奨される中、注目されているニューノーマルな働き方が「ワーケーション」。観光地やリゾート地でリモートワークを活用しながら休暇をとる、という新たなライフスタイルだ。このワーケーションという考え方は、自動車の世界にも新たな風を起こしつつある。
このワーケーションに目をつけ、日産自動車の『NV350キャラバン』と、トランスポータープロショップ「オグショー」のコラボレーションによって誕生した1台が、『NV350キャラバン ES モビリティコンセプト』(以下、ESモビリティコンセプト)だ。快適な移動体としてだけでなく、仕事も含めた生活空間としての機能性や装備を充実。「時間に縛られず、仕事場と遊び場を自由につなぐ」として、新たな車のあり方を提案する。
◆遊びを全力で楽しむための「トランポ」は中身で勝負
カスタムを手がけたオグショーは、モトクロスライダーだった小栗伸幸代表が立ち上げたトランスポータープロショップ。トランスポーター(トランポ)というカテゴリーがまだなかった1980年代、「バイク、ウェア、ヘルメットなどをしっかり積めて、自分も身体を伸ばして眠れる、そんな車を実現できれば」とベッドが備わったトランポを作ったことでレーサーやライダーたちにヒット。その後はレース向けだけでなく、サーフィンや釣りなど趣味の領域にも幅を広げ、ファン層も拡大し続けている。
今回発表されたESモビリティコンセプトは、長年「遊びを全力で楽しむためのトランポ」づくりを続けて来たオグショーだからこそ実現できた、ひとつの到達点と言えるのかもしれない。
ESモビリティコンセプトのベースとなっているのは、日産NV350キャラバン プレミアムGX。これにオグショーの「ESパーツ」が組み込まれている。既存のラインアップ商品のほか、現在開発中のパーツも多数用意されており、コンセプトカーではあるが、“デモカー”と言った方が正確かもしれない。エクステリアの加飾はタイヤ&ホイール程度。あくまでもトランスポーターであり「中身で勝負」というわけだ。ここにもオグショーの哲学が見てとれる。
◆6cm低いフリップベッドにワーケーションならではのこだわり
ESモビリティコンセプトに装着された新たなESパーツは、「ESフリップベッド MOBILITY CONCEPT」「ESシートカバーF/R」「ESネックパッド」「ESアームレストPLUS」「ESセンターコンソール」「SフロアマットRR」「ESステッププロテクター(サイド・リア)」「MOBILITY(移動式)テーブル」。ESフリップベッドMOBILITY CONCEPTとMOBILITYテーブルは、日産とのコラボ商品だ。これら全てのESパーツは近日発売予定だという。
ワーケーションをテーマとするからには、重要なのが車内での居心地。注目はやはりESフリップベッド MOBILITY CONCEPTだろう。通常のESフリップベッドよりも6cm低く設計してある(ベッドマット下の高さは350mm)そうで、寝るためだけでなく座った状態でも快適に過ごせるよう開発されたという。片側跳ね上げタイプになっており、右側ベッドマットは3分割が可能。コンセプトカーのように自転車を積み込んだり、テーブルを置いたり、様々な用途に対応が可能だ。
またESモビリティコンセプトでは、車内で過ごす時間を考え、冬は冷たくなりにくく、夏は蒸れにくい、耐久性にすぐれた専用のモケット生地で統一されているのもポイント。手触りや、柔かいグレーの色合いもリラックスした気持ちにさせてくれる。ちなみに、オグショーではよりアウトドアに適した撥水性能の高いPVCレザーによる制作も可能だそうだ。
これらのESパーツをフル装備にして、価格はおよそ30~40万円程度とのこと(車両価格、後述のアクセサリー類は別)。自分だけの空間を家具付きでリフォームする、と考えれば意外と安い、といえるのかも?
◆注目のプロトタイプアクセ「電子シェード」と「サーフェススピーカー」
このESモビリティコンセプトには、オグショーによるカスタムだけでなく、日産によるプロトタイプのアクセサリーも多数備わっている。スマートフォンで解錠・施錠が可能なNFC型キーシステム、電子シェード付きサンバイザー、UVライトで“CARAVAN”の文字が浮かび上がるブラックイルミカーペット、UV除菌グローブボックス、DC/ACインバーターが装着されていた。
さらに注目したいのが後席ガラスに装備された「電子シェード」と、天井に設置された「サーフェススピーカー」だ。電子シェードは、NV350キャラバンの長い後席ガラス全面を、スイッチひとつで透過モード、遮光モードに切り替えることが可能。カーテン要らずなため場所を取ることもなく、ワンタッチでプライベート空間を作ることができるのは大きなメリットだ。
サーフェススピーカーは、天井に埋め込まれた小型スピーカーから降り注ぐように音を鳴らすオーディオシステム。車体の振動も利用することで、小型スピーカーとは思えないほど臨場感あふれるサウンドを実現する。荷物をたくさん詰め込みたいトランポだからこそ、スペースを圧迫しないのも利点だ。ただ、理想的な音響空間とするための車体とのマッチングはかなりシビアなようで、現在のところ市販化の予定はないという。オーディオ好きにも刺さりそうなこのシステム、ぜひ市販化に期待したい。