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最大出力350psにチューン…フォード フォーカスRS500

欧州フォードは29日、フォード『フォーカスRS500』を発表した。エンジンチューンによって、最大出力は45psプラスの350psを獲得。0-100km/h加速5.6秒、最高速265km/hを誇る『フォーカスRS』の最強仕様は、500台が限定生産される。

現行フォーカスRSは、2008年12月にデビュー。WRC(世界ラリー選手権)参戦から得られたノウハウを応用して開発されたホットハッチで、欧州では2009年春から販売されている。

エンジンは、ボルボ用をルーツとする2.5リットル直列5気筒ターボ。先代フォーカスRS用をベースに、シリンダーヘッドやカムシャフトを一新し、吸排気系やコンピュータープログラムも変更された。この結果、最大出力305ps、最大トルク44.9kgmを発生。6速MTを介して、0-100km/h加速5.9秒、最高速258km/hの優れた性能を発揮する。

駆動方式は軽量化を目的に、先代のフルタイム4WDからFFへ変更。大パワーのFF車特有の欠点であるトルクステアについては、新開発のレボナックルサスペンションを前輪に採用することで対応した。タイヤは235/35R19サイズで、ブレーキローターは前336mm、後ろ300mmの大径仕様が装着される。

そんなフォーカスRSの限定車として登場したのが、フォーカスRS500。その開発には、フォードのWRC部門、「フォードチームRS」のパートナー、レボルブテクノロジー社が参画。同社はフォード公認のチューニングパーツを、「Mountune」ブランドとしてリリースしていることで知られる。

2.5リットル直列5気筒ターボエンジンには、専用コンピューター、大容量インタークーラー、大型エアフィルター、大口径エグゾースト、専用燃料ポンプなどのチューニングを実施。これにより、最大出力350ps/6000rpm、最大トルク46.9kgm/2500 – 4500rpmを引き出す。フォーカスRS比で、45ps、2kgmの性能アップを果たした計算だ。低回転域の力強さやレスポンスを維持しながら、ミッドレンジとトップエンドでのパワーを引き上げているという。

トランスミッションは6速MT。0-100km/h加速は0.3秒短縮して5.6秒、最高速は7km/h向上して265km/hを実現する。それでいて、燃費やユーロ5の排出ガス性能はそのままだ。欧州フォードは、「ターボのブースト圧チューンに頼らなかった部分が大きい」としている。

ボディカラーは、3M社と共同開発したマットブラック。つや消しブラックの専用色が、ブラック塗装のアルミホイールと相まって、迫力のフォルムを演出する。ブレーキャリパーがレッドとなるのも、フォーカスRSとの違いだ。足回りは、ニュルブルクリンクにおける連続1万kmの走行テストで煮詰められ、欧州フォードによると、ラップタイムは8分台の実力だという。

インテリアは、カーボン調仕上げとなり、センターコンソールには、限定車を示すシリアルナンバープレートを装着。ステアリングホイールやシフトレバー、ドアトリムには、赤がアクセントに使用される。オプションで、レカロ製レザーシートを用意した。

フォーカスRS500は、4月9日に開幕するライプツィヒモーターショーで正式発表された後、5月から欧州20か国で販売開始。現行フォーカスRSの製造が終了する9月までに、ドイツ・ザールルイ工場で限定500台を生産する。欧州フォードは1980年代後半、モータースポーツシーンを席巻した『シエラRS500コスワース』の再来として、フォーカスRS500のアピールに力を入れている。