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メルセデスベンツ Sクラス 新型の頂点「マイバッハ」、生産開始…新世代工場で
メルセデスベンツは2月12日、新型メルセデスマイバッハ『Sクラス』(Mercedes-Maybach S-Class)の生産を、ドイツ・ジンデルフィンゲン工場で開始した、と発表した。同車が、メルセデスベンツの5000万台目の乗用車となった。
新型メルセデスマイバッハSクラスは、新型メルセデスベンツSクラスをベースに、よりラグジュアリー性を高めた「メルセデスマイバッハ」ブランドのモデルとなる。新型は、メルセデスマイバッハSクラスとしては、2世代目となる。
◆専用のエクステリアとエグゼクティブシート
フロントには、クロームメッキのフィンを備えたメルセデス マイバッハ専用デザインのボンネットとラジエーターグリルが装備される。MAYBACHのマークは、グリルのクロームサラウンドにエレガントに表現された。後部ドアは新型Sクラスよりも大きく、乗降性に配慮する。Cピラーには固定式のクォーターライトを採用し、マイバッハブランドのロゴが配された。電動コンフォートリアドアがオプションで選択できる。
手作業で施されるツートン塗装仕上げは、マイバッハらしいオプション装備だ。オプションの「DIGITAL LIGHT」は、前方の道路にガイドラインや各種警告サインを投影する。
ボディサイズは、全長5469mm、全幅1921mm、全高1510mm、ホイールベース3396mm。ベース車両の新型Sクラスのショートホイールベース車に対して、全長とホイールベースは290mm延長されている。
ホイールベースの延長により、後席乗員の快適性を引き上げる。標準の「エグゼクティブシート」によって、後席の居住スペースは、移動オフィスや隠れ家になるという。エグゼクティブシートは、座面と背もたれを個別に調整できる。前席後方のフットレストと電動式のレッグレストを採用することで、快適なリクライニングを実現し、快適な睡眠姿勢を可能にする。レッグレストの調整幅が、従来型比で50mm拡大された。ふくらはぎ部分のマッサージ機能や、首や肩のヒーターなどが装備される。
◆第2世代のMBUX
最新の「MBUX」が搭載される。MBUXは、「メルセデスベンツ・ユーザー・エクスペリエンス」を意味し、新世代のインフォテインメントシステムだ。特長は、人工知能(AI)によって、学習することにある。
MBUXはカスタマイズ可能で、ユーザーに適応する。無線通信での更新も可能だ。タッチスパネルで操作する高解像度のワイドスクリーンコックピット、拡張現実(AR)技術を備えたナビゲーションディスプレイ、「ハイ、メルセデス」で音声アシストが起動するインテリジェントな音声コントロールが含まれている。
新型のMBUXは第2世代となる。ハードウェアとソフトウェアが大きな進歩を遂げており、さらにデジタルでインテリジェントになった。OLEDテクノロジーを備えた12.8インチの大型インフォテインメントディスプレイをはじめ、最大5つの大画面ディスプレイにより、快適機能などを簡単にコントロールできるようにした。
12.8インチの大型インフォテインメントディスプレイは、操作スイッチの数が大幅に削減された。従来型よりも、スイッチの数は27少ない。ディスプレイの最も下の位置には、空調操作パネルが配される。
このディプレイには、「OLED」テクノロジーを導入する。OLED(有機発光ダイオード)は、LEDなどの点光源とは異なり、平面光源となる。その光は、新しいレベルの均質性を可能にする。プラスチック基板にいくつかの有機層を組み合わせたOLEDユニットは、効率的で軽量に仕上げられる。
新型では、OLEDユニットをガラスパネルの向こうに配置し、その背後のアクチュエーターと圧力センサーを組み合わせて、優れたコントロール性とディスプレイ表示を可能にした。OLEDパネルは、外部の背景照明を必要とせず、点灯している場所でのみ電力が消費される。OLEDテクノロジーは液晶よりも、最大30%エネルギー消費を抑えられるという。
「MBUXインテリアアシスト」は、乗員の意図を理解する。乗員の視線、ジェスチャー、ボディランゲージを認識する。 新型は、ルーフライナーに組み込まれた3Dレーザーカメラを使用して、後席の乗員の動きやジェスチャーを認識する。
たとえば、後席乗員がシートベルトに手を伸ばそうとしていることをMBUXインテリアアシストが認識すると、ベルトエクステンダーが作動し、自動的にシートベルトを装着してくれる。ドアを開けた際、後方から接近してくる車両などとの衝突を防ぐ出口警告機能も強化された。
◆新世代工場「ファクトリー56」で生産
生産が、ドイツ・ジンデルフィンゲン工場で開始された。同車が、メルセデスベンツの5000万台目の乗用車となった。
世界で最も近代的な自動車工場のひとつとして、ジンデルフィンゲン工場内に完成したメルセデスベンツの新世代工場、ファクトリー56で生産されている。ファクトリー56の最大の特長は、柔軟な生産体制だ。コンパクトカーからSUVまで、またエンジン搭載車からプラグインハイブリッド車(PHV)やEVなどの電動車まで、新型車を数日で量産に移行できる。市場の需要に合わせて、生産台数を迅速かつ柔軟に調整することも可能だ。
また、ファクトリー56は完全にCO2ニュートラルで、ゼロカーボンの工場となる。これは、太陽光発電システム、DC電力グリッド、電動車のバッテリーを再利用したエネルギー貯蔵システムなどによって、可能にしている。なお、メルセデスベンツは、ファクトリー56のコンセプトを、世界中のすべてのメルセデスベンツの工場に段階的に適用していくという。