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日立製作所のコネクテッドカー戦略とは? ドライバー不足の解消、自動運転の高度化へ

  • 《写真提供 日立製作所》
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◆日立製作所のコネクテッドカー戦略とは

日立製作所は、交通事故やトラックドライバー不足といった人やモノの移動にまつわる課題をコネクテッドカーを活用して解決するソリューションの開発に取り組んでいる。

その開発に携わる日立製作所コネクテッドカー本部事業開発部の長船辰昭部長は「交通事故の3つの原因として人、道路環境、クルマがある。このうち人に起因する事故が95%を占めている。また運転に関する認知、判断、操作のうち、認知ミスによる事故が6割近くを占めている。この事故の発生を防ぐには、近年増加する先進安全支援システム、自動運転システム等の手段によって削減する必要があると考えている」と語る。

一方、モノの移動にまつわる課題に対しては「移動データの収集によって熟練者の移動経験をデジタル化、情報共有して誰もが安全かつ効率的に移動できる仕組みを提供することで、ドライバー不足の解消に貢献する」とした。

これらの課題に日立は「安全を支えるプロダクトとして、先進運転支援システムや自動運転システムなどの車載コンポーネントを開発し、提供する。鉄道の運行管理や物流システムなどで培った安全かつ効率的な移動指示によって、人やモノの安全かつ効率的な移動管理を実現する」というアプローチで解決しようとしている。

◆IoVプラットフォームで実現する自動運転の高度化

その上で長船氏は「2つを実現するためにはデータが重要になると考えている。日立では人の移動やモノの移動の課題解決に必要となるデータを蓄積し、そのデータを活用するソリューションであるインターネットオブビークルス(IoV)プラットフォームを通じて、新たなサービスを提供していく」と話す。

長船氏によるとIoVプラットフォームは「車両情報、ドライバー情報、周辺環境情報を蓄積し、データを分析する手段を備え」ており、そのデータ分析結果を活用して「詳細地図、自動運転の高度化、自動運転による配送自動化の3つのソリューションを開発している」という。

このうち詳細地図では、先進運転支援、自動運転に必要となるレーンレベルの地図データをナビゲーション用地図から生成することによって、低コストかつ広範囲なデジタル地図を提供する。

「普段私たちが使用しているカーナビにはSDマップデータという標準の地図データが使われている。一見すると単純な構造ではあるが、SDマップデータには道路形状や種別、規制情報など安全に道案内を行うため、様々な属性情報が付与されている。それらの属性情報を参照し、DGMデータを生成。このDGMと各種センシング技術が連携して先進運転支援や自動運転システムを実現する」と長船氏は解説する。

また自動運転の高度化に関しては「例えば道路に破損がある場合、クルマは直線道路であるにも関わらず、それを避ける挙動を示す。また修理が完了すれば通常通りの挙動を示す。こうした運転挙動の情報を収集することで、リアルタイムに道路異常を検知できる。さらにこのデータを自動運転の高度化に活用する。道路破損情報を受けた車両が、そのデータを基に車両側でサスペンションを適切に制御することで、道路破損個所を回避することなく、快適に通過することが可能になる」とのことだ。

◆コネクテッドによってクルマは軌道交通に近づく

一方、配送自動化では鉄道車両やその運行管理といった日立ならではのノウハウが生かされてくる。「コネクテッドになるとクルマはどんどん鉄道にある意味、近づいてくると考えている。鉄道は軌道交通であるのに対し、クルマは軌道がない状態だが、自動運転でルートをバーチャルに引くことによって、どんどん軌道交通に近づいていくので、鉄道の路線整備も含めたインフラ管理に近いような形になってくる」というわけだ。

「管制システムにより自動運転車両を運行管理することで、業務の自動化を実現しドライバー不足を解決する。鉱山、港湾、プラント、工場では多くの車両が輸送業務に用いられている。日立ではそれらの輸送業務の自動化を目指して技術開発を進めている」と長船氏は説明する。

日立は移動の課題をIoVプラットフォームを通じて解決する考えだが、長船氏は「ベースの技術を造って、実際のソリューションとして使って頂くには、使って頂く方々と一緒に造り上げないといけないと思っている。例えば、物流もお客様によって解決したい課題が異なる。配送の効率化をしたい、どこに駐車すれば良いのかというノウハウであったり、さらには鉱山など特殊な環境で使いたいというお客様もいる。ベースの技術があって、そこから実際に経済効果が出るところまでやるには一緒にやらないといけないと思っている」とも話していた。