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【日産 フェアレディZ 次期型】プロトタイプ時点で公開した理由—「NISSAN NEXT」の1台
日産自動車は9月16日、新型『フェアレディZ』のプロトタイプをオンラインで世界に向けて公開した。プロトタイプをこれほど大々的にPRするイベントは異例といっていいだろう。そこには日産の苦しい事情がありそうだ。
日産の2020年3月期連結決算は6712億円の最終赤字。21年3月期も新型コロナウイルスの影響で、営業損益が過去最大の4700億円の赤字、最終損益も6700億円の赤字になる見通しだ。資金繰りも悪化しているといわれており、総額で1兆円を超える巨額のドルとユーロ建ての社債を発行する。日産はこれまでにも銀行から約8900億円を借り入れている。
そのイメージを払拭するため、プロトタイプを公開して、日産の復活を印象づけたかったわけだ。日産は事業構造改革計画「NISSAN NEXT」の中で、今後1年半で新型車を12車種投入する方針で、新型フェアレディZはそのうちの1台で、日産復活のカギを握っているクルマなのだ。日産は02年にも、経営危機からの復活を象徴するモデルとして5代目フェアレディZを発売している。
7代目フェアレディZも同じような思いを込められており、市場投入は2021年の予定だ。パワートレインはV6型ツインターボエンジンと6速マニュアルトランスミッション。全長4382mm、全幅1850mm、全高1310mm。初代ZとZ32のデザインをイメージさせる。グローバルデザイン担当のアルフォンソ・アルバイサ専務執行役員によると、シルエットをものすごく大事にしたそうだ。
また、内田誠社長は「フェアレディZプロトタイプは伝統に忠実であることを大切にした。これまでにZを所有し、そのドライビングを楽しんできたお客さまに答えたい。一方で新しい世代のお客さま、例えばオンラインゲームでZのレースに夢中になっているみなさんにも是非リアルなZを楽しんでもらいたい、そういう思いでつくり上げてきた」と話す。
フェアレディZは1969年の初代発売以来、「手頃なスポーツカー」をウリに、性能と値ごろ感を両立した車種として国内外で多くのファンを獲得した。現行モデルである6代目までの合計生産台数は180万台にのぼる。