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【ホンダe】街中での性能に特化したEV…コネクティビティやシンプルデザインにこだわり[詳細画像]
ホンダが満を持して送り出したコンパクトEV『ホンダe』は、次世代のモビリティ社会を視野に入れた都市型EVとしてコネクティビティや安全性能、使い勝手を突き詰めた。2017年にコンセプト、昨年はプロトタイプが発表され、2020年8月に国内モデルが公開された。
本稿では、ホンダ初のピュアEVとして注目されるホンダeの詳細を画像とともにお伝えする。
◆航続距離はWLTCモードで283km
航続距離がWLTCモードで283kmとEV市場に並ぶ他モデルと比べると控えめとも言えるレンジだが、ホンダeはシティーコミューターとして割り切ったEV性能を持つ。最高出力は113kw(ホンダe Advanceグレード)で、ストップ&ゴーの多い都市での走行に合わせV型6気筒3リットルエンジン相当の最大トルク315Nmを生み出すe:HEV駆動モーターをトランク下に搭載し、ダイレクトな加速を実現。パワーコントロールユニット(PCU)をコンパクトかつ横置きにレイアウトすることで低重心化にも寄与している。
フロントフード中央に配置された充電/給電ポートにはCHAdeMO急速充電とType1単相の通常充電に対応。CHAdeMOの場合30分で80%の急速充電が可能で、202kmを走行出来る。国内でも急速充電器のインフラが整いつつあり、1クール30分という基本的な急速充電の使用時間を考慮したEV性能となっている。
また、天候や気候から来る温度変化が航続距離に影響を及ぼすというEV特有のネガティブ要因を解消すべく、バッテリーの適切な温度調節を行う。専用ヒーターやフロントルーム内のラジエターを利用した水冷システムにより、最適なパフォーマンスを提供。走行時のみならず、スマートフォンからの遠隔操作やタイマー設定に合わせバッテリーの温度管理を行うことが可能だ。
◆専用設計で快適な乗り心地を実現
狭い路地など町中を走るシティーコミューターとしてコンパクトにまとめ上げられたホンダeに合わせ、スモールEV専用プラットフォームを開発し衝突時の安全性や乗り心地を向上。前後ストラットサスペンションによる4輪独立懸架を採用することでクルマとしての基本性能を向上し、『シビック』クラスのダンパーを装備することで荒れた路面上でも快適な乗り心地を実現したという。
後輪駆動を採用したホンダeには、コーナリング時にリアが流れることを防ぐべく回生ブレーキと4輪の油圧ブレーキによるリアルタイム制御が備わっており、雨天時の滑りやすい路面等でも安定した走りを実現した。また、ステアリングの回す量を変更できる可変ステアリングギアレシオを採用し、最小回転半径4.3mを達成することで約6m幅の片側一車線の道路でも容易にUターンが可能だ。
加速が異なる「NORMALモード」と「SPORTモード」の2つのドライブモードを用意。シングルペダルコントロールのオン/オフや減速度の変更と組み合わせることで、高速道路から雪道、駐車場まで様々な走行シーンに対応する。
◆テクノロジーを全面に押し出さないミニマルデザイン
モダンでありながら親しみやすいエクステリアデザインを持つホンダeは、プロトタイプからほとんど変更が見られないとして発売されるにあたり大きな反響を呼んだ。先進技術を盛り込んだプロダクトにありがちなテクノロジーを全面に押し出したデザインや、従来のガソリン/ディーゼル車の延長線上のようなデザインではなく、シンプルかつミニマルなエクステリアに仕上がっているのが印象的だ。アイコニックなフロントグリルとリアパネルには、ライトの他にカメラやセンサー類を集約。さながらスマートフォンのノッチが如く、機能をグリル/パネル内でブラックアウトすることでデザイン的ノイズを軽減。アウターハンドルやサイドカメラミラー、サッシュレスな前後ドアなどの採用も機能性の向上に加え、デザインのミニマル化に寄与している。
毎日触れるからこそという思いから特別にデザインされたという充電ポートは、全面ガラスで仕上げられた他充電状況を知らせるLEDライトが備え付けられ、ポートの開閉には回転スライド式を採用している。
ホイールは2種類。10本ストレートスポークの16インチホイールは航続距離向上のために軽量・高剛性化が施され、17インチホイールはスポークが浮いて見えるフローティングスポークデザインを採用した。ボディーカラーは新色のイエローやブルー、レッドなど全7色が設定されている。
◆インテリアはソファーに座ってテレビを見る感覚?
ホンダeの車内でまず目を引くのは、インストルメントパネルだろう。5つのスクリーンを水平に並べ、中央の2連ワイドスクリーンから運転席正面のメータースクリーンまでつなぎ目をなくすことで、一面のパネルのようにデザインした。グラフィックインターフェースも直感的に分かるデザインが用いられたアイコンを採用。また、スクリーン上のスイッチのみではなく、物理ボタンがリビングテーブルをモチーフにしたという木目調の水平なパネル上に並べられ操作性を犠牲にしない。
親しみやすく飽きの来ないインテリアを目指し、シートにはツートングレーのメランジ調ファブリックを採用。アクセントとしてシートベルトや前席のサイドエアバッグのタグにブラウンを配色。ドアライニングパネルにもシートと同様のファブリックが用いられ、ドアやシートにはジグザグのステッチが施されるなど遊び心も垣間見える。その他にも、水平デザインに合わせた2本スポークのステアリングやリビングらしさを醸し出すダウンライト系のLEDルームライトが特徴的だ。前席上にはスカイルーフが設けられ、明るさとパノラマ感を提供している。すべてのガラスにUV・IRカットガラスが用いられ、紫外線対策と室温上昇を防ぐ効果がある。
『フィット』や『N-BOX』等ホンダの十八番とも言える室内空間の最大化がホンダeでもなされ、コンパクトボディながら大人4人が快適に過ごせる室内空間を持つ。モーターをリアに配置しながらも、デイリーユースとして充分な荷室容量を確保。楽な姿勢で出し入れが出来るよう、地上高を730mmとしている。
◆クルマの概念を超えたコネクティビティ
上記でも触れた2連ワイドスクリーンでは、音声検索やナビ、オーディオの他、スマートフォンとのコネクティッド機能や映画鑑賞等が利用出来る。スクリーンには四季折々の壁紙が画面いっぱいに表示され、PCのようにユーザーが自由に壁紙を設定出来る。メータースクリーンはシンプルなデザインから情報量の多い表示まで変更することが可能だ。「OK、ホンダ」と呼びかけることで起動する「Hondaパーソナルアシスタント」は、リアルタイム情報を提供するインフォテインメントシステム。親しみやすくゆるりとしたイラストのアシスタントキャラクターに話しかけることで、行き先検索等が可能。挨拶するとスクリーン内を飛び跳ねて喜んだり、話しかけないと寝てしまったりする。また、魚に餌をあげて楽しむことができる水槽アプリ「Aquarium」を用意するなど、単なる移動手段の域を超えるモビリティと言えるだろう。
ホンダeにはWi-Fiが搭載され、リモートワークで仕事をしたり充電時に映画を楽しんだりすることが可能で、走行時以外でもクルマでコンテンツを楽しめる。また、専用アプリを通じてスマートフォンをセンターピラーとインストルメントパネルに搭載されたNFCセンサーにかざすことでデジタルキーとして利用出来る。アプリからはエアコンの遠隔操作や目的地設定、充電管理が可能だ。
ボタン1つで簡単に駐車が行える「ホンダパーキングパイロット」も搭載。4つのマルチビューカメラと12個のソナーによって検知された駐車スペースを選択するのみで、アクセル/ブレーキ・ハンドル操作などをシステムが代行する。安心して利用できるように、クルマがどのように駐車しようとしているかをスクリーン上に表示。万が一ドライバーが障害物を検知した場合、ブレーキを踏むことで停止するよう設定されている。駐車枠ありで3パターン(並列・縦列・斜め)、駐車枠無しで2パターン(並列・縦列)と車両がある場合の縦列出庫に対応している。
◆すべての人に安全を提供する
ホンダe は安全運転支援システム「ホンダセンシング」の11機能を標準装備し、渋滞駐に停止まで制御可能なアダプティブクルーズコントロール(ACC)や車両と歩行者、自転車を検知・衝突回避をサポートする衝突軽減ブレーキ(CBMS)などが備わっている。スクリーン上では直感的にわかりやすいイラストで設定状況が表示される。また、ボディ骨格をストレート構造にすることで短いオーバーハングでも衝突時の安全性を確保。歩行者との衝突時の頭部衝撃を軽減すべくポップアップフードを採用するなど、乗員のみならず歩行者などの安全も考慮されている。
ラインナップはシンプルな「ホンダe」と装備が充実した「ホンダe アドバンス(Advance)」の2種類。最高出力は、ホンダeが100kw、ホンダe アドバンスが113kwとなっており、後者は、「センターカメラミラーシステム」、「ホンダパーキングパイロット」、「AC100Vコンセント」、より高品質のサウンドシステム、17インチホイールを備える。価格や発売日については今後詳細が発表される。