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ブガッティ『シロン・ピュルスポール』、最終テストをニュルで開始…2020年後半から生産へ
ブガッティは、2020年後半から生産を開始する『シロン・ピュルスポール』(Bugatti Chiron Pur Sport)の最終ハンドリングテストを、ドイツ・ニュルブルクリンク北コースで開始した、と発表した。
シロン・ピュルスポールは、『シロン』をベースに、コーナリング性能を引き上げることに重点を置いて開発されている。2020年後半から世界限定60台が生産される予定で、価格は300万ユーロ(約3億6450万円)だ。
◆1500hpを発生する8.0リットルW16気筒+4ターボ
ミッドシップには、2ステージターボ化された8.0リットルW16気筒+4ターボエンジンを搭載する。最大出力は1500hpと変わらないが、発生回転数は6700rpmから6900rpmへ、200rpm引き上げられた。最大トルクは、163kgm/2000~6000rpmと変わらない。
7速デュアルクラッチの「DSG」は、全体のギア比を15%クロスレシオ化した。駆動方式は4WDだ。ブガッティによると、60~120km/hの中間加速は、ベース車両に対しておよそ2秒短縮しているという。
4種類のドライブモードに加えて、「スポーツ+」モードが採用された。通常のスポーツモードよりも、サーキット寄りの設定となっており、高速コーナーでもドリフトできる理想的なラインを走行できるという。
◆幅1900mmの固定式大型リアウイング
シロン・ピュルスポールでは、エアロダイナミクス性能を高める新デザインを採用する。フロントには、ワイド化された吸気口と、専用グリルを装着した。フロントリップスポイラーは、前方に突き出た専用デザインで、最大のダウンフォースを生み出す。
リアには、長さ(車両幅方向)1900mmの固定式の大型ウイングを装着し、ダウンフォースを高めた。専用のディフューザーも装備される。角度の付いたウイングマウントは、リアバンパーとともに、大きなX字を形成する。3Dプリントされたチタン製の軽量エグゾーストパイプが採用された。ベース車両の格納式リアスポイラーの油圧コンポーネントを廃止することにより、10kgの軽量化を果たしている。
オプションのエアロウィングを備えたマグネシウム製の軽量ホイールは、1本あたり4kg軽い。ホイール周辺の空気の流れを最適化し、エアロダイナミクスも向上させる。ホイール4本で重量を合計16kg削減することにより、バネ下重量も減少させた。
インテリアは、アルカンターラを多くの部分に使う。専用のパターンが、アルカンターラ張りのドアトリムパネルにレーザー加工されている。ステアリングホイールもアルカンターラ仕上げで、グリップを追求する。シートは、サイドのサポート性を引き上げた。すべてのトリムパネルとコントロールスイッチは、黒色の陽極酸化アルミまたはチタンで作られている。各部にクロスステッチをあしらう。ステアリングホイールの12時の位置には、青いハイライトが追加されている。
◆専用チューンのサスペンション
ブガッティは、とくにワインディングロードで本領を発揮するシャシーとサスペンションを、シロン・ピュアスポーツ向けに開発している。快適性を犠牲にすることなく、フロントに65%硬いスプリング、リアに33%硬いスプリングを採用した。アダプティブダンピングのコントロール、キャンバー値の変更(マイナス2.5度)により、さらにダイナミックなハンドリングを追求している。
フロントとリアのカーボンファイバー製スタビライザーは、さらにロールを最小限に抑える。ばね下重量は、19kg軽量化された。この19kgは、16kgにおよぶ車輪の軽量化に加えて、チタン製ブレーキパッドのベースパネルによる2kgの軽量化、ブレーキディスクの1kgの軽量化を合計したものだ。また、シャシー、サスペンション、ボディの接合部分の剛性を、フロントで130%、リアで77%強化することにより、路面への接地性を向上させている。
タイヤは、ミシュランが新開発した高性能タイヤ「スポーツカップ 2 R」だ。フロントが285/30R20、リアが355/25R21サイズを履く。新素材のコンパウンドのおかげで、高いコーナリングスピードでも優れたグリップ力を発揮するという。
◆ニュルブルクリンクは最終セットアップをテストする理想的な場所
ブガッティは、このシロン・ピュルスポールの最終ハンドリングテストを、ドイツ・ニュルブルクリンク北コースで開始した。ニュルブルクリンク北コースは全長20.832kmで、33の左カーブと40の右カーブ、最大17%の勾配があり、標高差は最大で300mに達する。ブガッティによると、世界で最も厳しいサーキットのドイツ・ニュルブルクリンク北コースは、シロン・ピュルスポールのサスペンションとハンドリングの最終セットアップをテストするのに理想的な場所だという。
ニュルブルクリンクでの最終ハンドリングテストによって、ステアリング、ダンパー、ESCなどのシャシー制御ソフトウェアを煮詰める。生産開始まで、すべてのシステムは、ストレステストで正しく作動するかどうか、チェックされる。
エンジニアは、車両の全体的な印象に注意を払う。ニュルブルクリンク北コースだけでなく、周辺の一般道でもテストを行う。テストドライブの過程で、エンジニアはシロン・ピュルスポールがサーキットのような極端な状況だけでなく、日常的な走行性能も確保していることを確認する、としている。