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ZF、120億ユーロを研究開発に投資…電動化と自動運転で商用車の安全、効率、コストを改善
2年に一度、ドイツ北部の街ハノーバーで行われる商用車モーターショーが開幕した。9月27日まで一週間にわたって開催される「第67回IAAコマーシャル・ビークルズ(商用車)」=ハノーバーモーターショーには、48か国から2000社以上の企業が新技術・新製品を出展する。
19日、一般公開に先立って行われた報道関係者向けのプレスデイでは、80を超えるバスやトラックなどの商用車メーカーや部品サプライヤーによる記者会見が行われた。
乗用車と同様、電動化と自動運転に向けたトレンドが顕著となっている商用車業界。このハノーバーモーターショーではそれらの分野に強みをもつ自動車部品サプライヤーの気合が感じられる。「メガサプライヤー」の一角を占めるゼット・エフ・フリードリヒスハーフェン社(ZF)は、「スマート・ロジスティックス」のテーマのもと、パワートレインの電動化や先進運転支援システム(ADAS)などに関連した最新テクノロジーを出展している。
午前中に行われた記者会見では、ウォルフ=へニング・シャイダーCEOが同社の事業戦略についてプレゼンテーションを行った。その中で、今後の5年間に電動化および自動運転関連技術開発に120億ユーロ以上の投資を行う計画が発表された。こうした技術の進歩は物流の効率化と安全性の向上およびコスト削減につながるため、乗用車よりも商用車において速いペースで普及していくと想定しているそうだ。
ZFが力を入れている分野の一つが、宅配便など客の手もとに荷物を届ける「ラスト・マイル」デリバリー。同社の「イノベーション・バン」電気自動車はレベル4の自動運転機能を備えており、例えばドライバーが集合住宅で配達を行っている間、自ら適切な場所を探して駐車する事ができるため大幅な作業効率向上が望める。信号や道路標識を認識し、飛び出しなど突然の事態にも対応可能な自律走行機能とゼロエミッション(排ガスゼロ)により、安全性および高効率を環境性能と両立する画期的な提案である。
シャイダーCEOによれば、「ZFのイノベーション・バンについては、既に複数のカスタマーと具体的な話を進めている」との事である。インターネット通販の普及などによって急速に需要が拡大し、人手不足や交通渋滞・事故など様々な課題を抱える宅配便業界。自動車部品サプライヤーの技術開発が、解決策を提案してくれる日が近い事を期待したい。