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ZFの物流事業者向け自動運転技術…ハノーバーモーターショー2018

●物流事業者に向けて提案するソリューション
ZFは9月19日、ドイツで開幕したハノーバーモーターショー2018(IAA商用車)において、最新の自動運転技術を搭載する『イノベーショントラック』と、『ターミナルヤードトラクター』をワールドプレミアした。

イノベーショントラックは、運輸会社や、空港、港などの物流事業者に向けて提案するソリューション。将来、大型トレーラーが自動でコンテナやトレーラーを繋ぎ換え、積み荷を目的の場所まで運ぶことを可能にする。倉庫内では、コンテナの持ち上げ、移動、設置、および積み荷の入れ替えなどの作業に、最も多くの工数と時間を要し、時には事故や大きな損害にもつながる。ZFのイノベーショントラックは、ドライバーなしでこれらの操作を行うことができる。

●ドライバーなしで荷台を交換
ドライバーは、自律走行モードに設定した後は、車から降りて休憩を取ることが可能。荷台の交換作業は、「スワップボディアシスタント」が自動で、新たな積み荷を積載済の別の荷台へ交換する。通常ドライバーが行うこの操作は、経験を積んだ作業員にとっても非常に高い技術が必要。ZFの「ProAI」中央コンピューターによって、イノベーショントラックはこれらの動作を常に迅速で正確かつ安全に行えるという。

イノベーショントラックの頭脳であるZF ProAIは、「ReAX」電動油圧式商用車用ステアリングシステムと「TraXon」ハイブリッドオートメーテッドトランスミッション(AMT)などのアクチュエーターを作動。後者はモジュール化された電気モーターによってゼロエミッション走行を可能にする。また、イノベーショントラックはコスト効率の高いカメラとレーザーを活用したセンサーおよびGPSシステムを搭載しており、周辺環境と進行方向を把握できる。

●トレーラーを積み下ろし作業スポットまで移動させるシャトル
一方、ターミナルヤードトラクターは、港湾などで使用する自動運転車。物流業界は運輸量の増加により、今後もさらなる成長が見込まれている。その一方で、業務における柔軟性、時間およびコストに対するプレッシャーは大きくなるばかり。さらに、今後はとくに経験豊富なドライバーの人材不足も業界全体で深刻な問題となる見通し。ターミナルヤードトラクターは、こうした輸送業界の課題に対するZFの提案となる。

ターミナルヤードトラクターは、積み込み作業を自動化する。各種センサーにより、車両の周辺環境を常に把握することが可能。ZFの中央コンピューター「ProAI」が、縦と横方向の動きを計算し、シャトル車両がトラックからトレーラーを引き受けて積み下ろし作業スポットまで移動させる。作業終了後は、再びトレーラーをトラックに戻す。

ターミナルヤードトラクターのコントロールユニットは、倉庫内などに備え付けられたシステムにつながっている。積み下ろし場の固定カメラが、稼働中のトレーラーのリアを認識。現場のコンピューターが軌道計算を行い、データをZFの「オープンマティックス」テレマティックスシステムの車載ユニットにワイヤレスで送信。車両に搭載されたProAIが、リアルタイムでその情報を処理し、エンジン、ステアリングシステム、ブレーキに指示を送る。ZFによると、自動運転のターミナルヤードトラクターが予め設定された範囲内においてトレーラーを動かし、積み下ろし場所まで自動で往復させることを可能にするという。

ZFのヴォルフヘニング・シャイダーCEOは、「ドライバーレスの輸送車両と自動化された機能は、ターミナルヤード、運送会社のデポ、または空港や港のような区域で特に重要な役割を果たす。近い将来、公共の道路よりも速くそのような区域で、より多くの自動運転車を目にすることになるだろう」と述べている。